2018年01月27日

一歳児塩中毒死事件と略式起訴の当否〜その後のこと〜正式裁判へ

 ■食塩中毒死,正式裁判へ
「盛岡市の認可外保育施設で2015年8月,預かり保育中だった下坂(したさか)彩心(あこ)ちゃん(当時1)が食塩中毒で死亡した事件で,遺族の弁護士が25日,施設の吉田直子・元経営者(34)を業務上過失致死竿で略式起訴した盛岡区検の処分について,盛岡簡裁が『不相当】と判断したと明らかにした。正式な刑事裁判が開かれる見通しになった」
〜朝日新聞2018年1月26日(金)(朝刊)31面〜

 裁判官の良識が略式起訴不相当という判断を導いた。ほっとする記事である。裁判所が職権で不相当判断をした後は,この旨を検察官に通知し,以後,正式な公判が開かれる準備に入る。この記事,いくつかのことを考えさせられる。

 (1)検察庁は,略式起訴を,ほどよい事件解決のためによく利用する。日馬富士事件のときも略式起訴でお茶を濁した。今回も,故意犯で処罰できず,事を荒立てないためにか,罰金を払うことで被告側にも納得させて事件を終えようとした。だが,これでは,遺族だけではなく社会も納得しない。公判廷で,刑事裁判の範囲で限界はあるが,真相に迫るべきで,事件にふさわしい責任追及をするべきであろう
 (2)但し,正式裁判である以上,刑事裁判の鉄則の厳格な適用がある。「疑わしきは被告人の利益に」「合理的疑いを超える証明」の原則が働く。無罪もありえる。また,「刑事裁判」である以上,「被害者」も刑事裁判の一方の当事者たる法的な地位に立つ。その責任と覚悟を持ってほしい。子供を亡くした悲しみを法的な場で適切に表現する冷静さがほしい。
 (3)子供を守れない社会。どうしてこうなったのであろう。児童虐待,児童ポルノ,児童を被害者とする性犯罪などなど。少子高齢化社会の異常さは,年配者が増えるという物理的状態にとどまらない,様々な病理現象を伴っているのかもしれない。親に教師に,保育所の職員・・・子を守るべき立場の大人が子供を犠牲にする・・・この異様さがこの事件にも漂う。「どうしてこうなる?」を考えるためにも,公開で行われる公判手続での正式裁判に期待したい。

posted by justice_justice at 07:26| ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

2018年01月24日

一歳児塩中毒死事件と略式起訴の当否


ネット上,次の記事が配信されていた。こんなコメントを考えた。

■「女児塩中毒死で略式起訴 業過致死罪で元経営者」日経(2018/1/23 19:11)  

 盛岡市の認可外保育施設で2015年8月、預かっていた下坂彩心ちゃん(当時1)に食塩入りの飲料を飲ませ、塩化ナトリウム中毒で死亡させたとして、盛岡区検は23日、業務上過失致死罪で、施設の吉田直子元経営者(34)を略式起訴した。元経営者は昨年7月に傷害致死容疑で逮捕されたが、同8月に処分保留で釈放されていた。両親は、食塩を無理やり飲ませられた可能性があるとして傷害致死罪の適用を求めたが、盛岡地検は傷害や暴行の故意は認められなかったとして、業務上過失致死罪とした。
 両親の弁護団によると、父親は「ここまで待たされて、業務上過失致死罪で罰金という結果は絶対に許せない」と話しているという。弁護団は真相解明のため、正式裁判を求める意見書を盛岡簡裁に提出した。
 起訴状によると、元経営者は、15年8月17日午前10時半ごろから同18日午前0時5分までの間、彩心ちゃんに食塩を加えた乳児用飲料を与え、中毒死させた。1歳児は腎臓が発達しておらず、食塩は与えないかごく少量にとどめるべき業務上の注意義務があったのに、怠った。〔共同〕

■次のような感想を持っている。

(1)故意犯か過失犯か?
 故意に塩分を過剰摂取させたとすると,被告がそれまで事故なく乳幼児を預かっていたのになぜ犯行に及んだのか動機が不可解となる。傷害致死罪で起訴すれば,裁判員裁判となるが,市民の目線からみて動機が不可解であれば傷害の故意が証明できなくなり無罪となってしまう。
 塩分の過剰摂取が乳幼児の死を招くという理解は社会でも案外広まっていなかったのは事実で,被告が被害幼児に軽率に塩分を与えた疑いも残る。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則に従い,検察が不注意による事故としての処罰を求めたのはやむを得ない選択だ。
(2)検察庁の説明責任
 ただ,検察は公訴権を独占しているのだから,傷害致死罪で逮捕しながら業務上過失致死罪で起訴した理由の概要は社会に説明する,いわば政治的な責務がある。
 被告のプライバシーと更正にも配慮が必要であるが,被害者遺族と社会に対しても正義の実現がなされたのかどうか,踏み込んだ説明が要る。
(3)被害者参加手続の拡張〜公訴権行使の規制
 略式起訴の場合,被害関係者は記録閲覧,裁判傍聴,裁判参加などができなくなる。また不起訴処分に対しては検察審査会が再検討する機会を持てるが,起訴のあり方について被害関係者が意見を述べる機会がない。検察からは小さな事件でも,市民にとっては許されない犯罪が略式起訴で処理されることも多く,正式裁判の請求を被害関係者にも認めるなどの法改正を検討するべきである。
posted by justice_justice at 06:20| ■裁判ー起訴された事件 | 更新情報をチェックする

2018年01月20日

T.K.A.M〜『アラバマ物語』〜To Kill A Mockingbird

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 アラバマ物語の映画は有名。
 黒人が強姦の罪を問われ,被害者の証人尋問で,被害供述が嘘であることが明白なのに,なお有罪を宣告する陪審員たち。そんな中で,スカウトが成長していく。

 ツグミは撃つな。エアライフルを長男に渡すときの言葉だ。理由を叔母が理由を説明した。ツグミは,人が楽しむさえずりをするだけだから・・・
 表題につながる部分なのだか,実は,なんのことだか,よく分からない。

 だが,南部のありふれた町のたたずまい,そこで成長する子供達,それと隣り合わせている黒人差別,その不正をただす白人弁護士・・・
 アメリカ文学の古典らしい色調である。

 死ぬまでにもう一度読めるかな。

posted by justice_justice at 09:34| ●教養ー読書 | 更新情報をチェックする