2015年08月05日

青酸化合物・連続変死事件 関西の不可解な事件と裁判員裁判

無縁社会・孤死の時代の殺人事件
 21世紀に入り,殺人罪の発生件数は減っている。しかし,おりおりの新聞報道をみていると,社会の道義観念の融解や地縁・血縁などしっかりした人の絆の解体とともに,不可解で不条理な人間関係を背景とする殺人事件に触れることが多い。いままだ京都,大阪両府警と京都地検,大阪地検が協議中と推測する事件が,青酸化合物を使った老齢結婚→夫殺害事件である。
 読売新聞2015年731日(夕刊)は「連続変死事件 青酸入手先特定 カギ 千佐子被告 業者名など明かさず」として,次の記事を掲載する。
 「青酸化合物を使った連続変死事件で、筧(かけひ)千佐子被告(68)が今月、交際相手だった神戸市北区の男性に対する強盗殺人未遂罪で追起訴された。起訴は3度目。自供以外に犯行を裏付ける直接証拠はなく、今後の公判などで鍵を握るのが、青酸の入手先だ。千佐子被告は「もらった」と従来と同じ供述を続けているが、相手の具体名などは明かしていない。裏付けは取れないままで、捜査本部はさらに確認を進める。
 ■核心は未特定
 千佐子被告は昨年11月、夫(2013年12月に75歳で死亡)への殺人容疑で最初に逮捕された際、容疑を否認。しかし、起訴直前の同12月、京都府向日市の自宅にあった植木鉢内の小袋から青酸成分が検出されたことを取調官に告げられ、容疑を認めるようになった。
 この際、青酸の入手先について、「プリント会社を経営していた数十年前、出入り業者に『印刷の失敗時に使えば色を落とせる』ともらった」と供述した。
 今年1月、大阪府貝塚市の元交際相手の男性(12年3月に71歳で死亡)に対する殺人容疑での再逮捕時も当初は否定していたが、その後、容疑を認め、3度目の起訴となった今回の事件も供述したという。
 ただ、青酸の入手先については、具体的な業者名や時期は明らかにしておらず、大阪府警などの捜査本部は確認作業を進めているが、今も特定できていない。
 一方、動機について捜査本部は、千佐子被告が投機性の高い金融商品への投資を繰り返していたことなどから、遺産など金目当てと判断。千佐子被告の周辺では、他に数人の高齢男性が死亡しており、捜査本部は経緯や状況を調べているが、刑事責任追及の見通しも立っていない。」
 今後の問題は,裁判員裁判で,裁判員を説得できる証拠が揃うのかどうかである。裁判員裁判の時代に入り,最高裁は,(1)事実認定の水準を厳格にすることー被告人が犯人でなければ説明できない事実が存在することの証明を求める,(2)量刑,特に死刑の選択については,基本的に裁判官の作った基準を当分守る,,,こんなスタンスで裁判員裁判をコントロールしようとしている。
 今回の事件の場合,千佐子被告の有罪を立証できるかどうかが鍵となる。こんなコメントを採用してもらっている。

■渡辺修・甲南大学法科大学院教授(刑事訴訟法)は「殺害などの自供が翻されても立証できるかという視点で証拠を固める必要がある。最高裁は、『犯人とみても矛盾はない』という程度の証明では有罪を認めない。青酸の入手先や保管方法などが不明確なままでは、有罪の決め手に欠けるのではないか」と話している。
posted by justice_justice at 08:21 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。