2014年03月22日

■裁判員裁判と控訴審の役割ー黙秘から供述への作戦変更の限界

■「連続不審死2審も死刑/遺族「墓前に報告」」読売新聞ネット配信(Yomiuri OnLine)
(2014年3月21日 読売新聞)

 いわゆる鳥取連続不審死事件で,二件の強盗殺人事件に問われていた上田被告の控訴審判決があり,控訴棄却となった。一審まで黙秘を貫き,控訴審になってから,プロの裁判官3名の前で,弁解をはじめた事件であったが,控訴審は,弁解の信用性を認めず,一審の事実認定ー裁判員と裁判官の事実認定を支持した。
 記事はこんなことを紹介している。
***引用****
 鳥取連続不審死事件で、男性2人に対する強盗殺人罪などに問われ、20日、1審・鳥取地裁に続いて高裁松江支部でも死刑判決を受けた元スナックホステス上田美由紀被告(40)。判決は上田被告の供述を「極めて疑わしい」と全面的に退け、遺族からは安堵(あんど)の声が聞かれた。
 午前9時20分に松江市の県民会館であった一般傍聴席(22席)の抽選では、690人が列を作った。
 開廷は同10時半。髪を後ろで束ねた上田被告に、塚本伊平裁判長が名前を尋ねると、「上田美由紀です」とか細い声で答えた。
 1審では主文が後回しになったが、この日は塚本裁判長が冒頭、「主文、本件控訴を棄却する」と言い渡した。上田被告は被告人席に静かに座ると、判決を読み上げる塚本裁判長を見つめた。
 控訴審では、鳥取県北栄(ほくえい)町の海岸で水死したトラック運転手矢部和実さん(当時47歳)と、鳥取市の摩尼(まに)川で水死した電気工事業円山秀樹さん(同57歳)について、同居していた男性元会社員(50)=詐欺罪で服役し、出所=の関与を示唆する供述を繰り返したが、判決は「(元会社員の犯行は)極めて困難」と認定。上田被告は判決内容をメモしながら、時折、納得できなさそうな様子も見せた。
*****
 いわゆる「識者の意見」が紹介されている。
■元東京高裁部総括判事の門野博・法政大教授(刑事法)
 「控訴審での被告の新たな供述について、きちんと検討した丁寧な判決だ。それでも1審の判断が支持されたのは、裁判員らが説得力ある結論を導いたことの証し。直接証拠のない難しい事件でも、争点を明確化し、双方の立証が尽くされれば、裁判員裁判でしっかり判断できることが示された点で意義深い」
■村岡啓一・一橋大法科大学院教授(刑事法)
 「被告は、1審の弁護側主張と同様に元会社員の犯行を示唆したが、控訴審判決ではその可能性を明確に否定された。黙秘から供述に転じることを納得させられるような、証拠に裏付けられた新事実の提示はなかっただけに、控訴審で供述した意義があったのか疑問だ」

ブログ編者のコメントは以下の通り。
 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話
 「1審で黙秘していた被告が控訴審で始めた供述には、新たな証拠の裏付けなどがなく、1審を是認した判断は納得できる。黙秘権は被告の権利ではあるが、裁判員の前で真相を解明することの大切さを市民も被告も十分に意識する必要があるだろう」
posted by justice_justice at 07:21 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

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