2014年03月21日

■死刑事件と裁判員が知るべきことー死刑の現状を検察官はなぜ立証しないのか

【解説・オピニオン】死刑制度の是非ー2014/02/25 産経新聞・大阪夕刊

 死刑求刑が予想される事件で,弁護側が,刑罰としての死刑の在り方に関する証人尋問を求めこれを行うことは妥当か。こんなことが実際の裁判員裁判で問題となった。
 編者は,むろん,賛成する。
 解説記事を紹介しよう。
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■裁判員に委ねる手法に違和感
「平成23年に堺市で象印マホービン元副社長と主婦を相次いで殺害したとして、強盗殺人罪などに問われた西口宗宏被告(52)の裁判員裁判で、死刑制度の是非が争点となっている。弁護側は、絞首刑が残虐な刑罰を禁じた憲法36条に違反すると主張。死刑執行経験のある元刑務官らの証人尋問を通じ、死刑回避を訴える。ただ、個々の刑事裁判で刑罰自体を論じ、死刑制度の憲法判断まで裁判員に委ねるという手法には違和感も覚える。
 被告は2人を殺害し、計約110万円を奪ったとされ、起訴内容を認めている。保険金目的の放火事件での服役から仮釈放された直後の犯行で、検察側は死刑を求刑するとみられる。
 これに対し、弁護側は「死刑や無期懲役刑の実態は裁判員に知られていない。実態を分かったうえで、本当に残虐な死刑が必要か考えてもらいたい」と主張。元刑務官で作家の坂本敏夫さん、立命館大産業社会学部の岡本茂樹教授(犯罪心理学)の2人を証人申請し、認められた。
 24日の証人尋問で、死刑執行に立ち会った経験がある坂本さんは「開閉式の床が開き、(受刑者は)少なくとも4メートル落下する。心肺停止後、蘇生(そせい)しないように5分間は首をつったままにする」と執行の様子を説明。岡本教授は無期懲役囚との交流を踏まえ、「無期懲役は先の見えない恐怖があり、魂を殺す刑。死刑と雲泥の差があるとは思えない」などと述べた。」
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これをどうみるか。確かに、
 「真相解明を期待する遺族の前で事件とは直接関係のない議論が必要だったのか。審理を傍聴し、率直な疑問が残ったのは事実だ。」という解説記事のコメントも確かだ。しかし,証人は,「いずれも一般市民には知る機会が限られる内容を証言した」と解説記事も認める。
 解説記事の結論は,無難にまとめている。
 「一般市民にとって人を裁くこと自体が非常な重責だ。今後も死刑の予想される公判に、繰り返し憲法論議が持ち込まれれば、裁判員への過度の負担も懸念される。国や裁判所は、刑罰の実態周知という課題を解消しつつ、裁判員裁判のあるべき姿をいま一度見つめ直す必要があるだろう。」

●甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)
 「裁判員は量刑も判断するのだから、刑罰の合理性も証拠で判断すべきだ。刑罰の実情に迫る試みは裁判員裁判にふさわしい」と評価する。ただ、元検事で近畿大法科大学院の瀧賢太郎教授は「公判は特定事件の審理の場。立法論に相当する議論は別の場ですべきだ」

posted by justice_justice at 22:37 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

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