2014年01月23日

■高速道路への自転車投棄ー「殺意=故意」の理解

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少し残念に思う記事だ。
家裁の審判を経て,自己の行為の意味を理解しなかった少年達の話である。
詳細は,次の記事が語る。

【@深層】夜の高速「自転車が降ってきた」 少年らの救い難き想像力欠如
2014/01/14 産経新聞 大阪夕刊
***引用***
 「殺そうと思ったわけじゃない」「悪ふざけだった」。そんな言い訳ですむはずがない事件が未明の高速道路で起きた。兵庫県川西市の中国自動車道上り線で昨年10月、高さ11メートルの陸橋から自転車2台が相次いで投げ込まれ、走行中の車7台が自転車に接触したり乗り上げたりした。兵庫県警は同年12月、自転車を投げ落としたとして殺人未遂容疑で16〜19歳の少年4人を逮捕した。「悪ふざけの域を越している。死人が出ていないのは運が良かっただけ」と捜査関係者が眉をひそめた事件。少年らには、死傷者が出るかもしれないという当たり前の想像力もなかったのだろうか。
 10月14日午前1時55分ごろ、トラック運転手の男性は、通い慣れた中国道を走行中、目の前の光景が信じられなかった。「自転車が降ってきた」。1台目の自転車が投げ落とされた約10分後、狙いすましたように2台目が後続の乗用車のフロントガラスめがけて落下してきた。
 いずれも運転手のとっさの判断で大事には至らなかったが、トラックや乗用車など計7台が次々に自転車に接触したり、乗り上げたりした。
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 この事実は,「刑法の目」からみたとき,「殺意のある行為」である。
 日本の刑法の世界では,「故意=殺意」という心の状態は,基本的には,
  「人が死ぬ危険が認められる行為をおこなっていることを認識していること」
 である。
 むろん,裁判例では,「結果の認容」といった要素を加える場合もある。が,これは,証拠上,認容まで認められるから認定しているのである。「死ぬことを認容している」という心の状態は,「自己がおこなっている行為の認識」を当然に前提にする。
 「認容」と評価するべき心の状態を証拠で必ずしも推認できなくても,「殺人に値する行為の認識」があると証拠から推認できれば,ひとまず「殺人」または「殺人未遂」として罪名を認めるべきで,後は,刑罰の程度=量刑の問題である。
 日本の刑法は,もともと各犯罪毎に幅広い法定刑を規定する。
 殺人罪であれば,@死刑,A無期の懲役,B5年以上〜20年以下の懲役である。
 だから,県警も殺人未遂で立件した。
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 ◆「殺人未遂罪」適用
 県警は当初、けが人がいなかったことから、器物損壊事件として捜査。しかし、走行中のトラックを狙って自転車を投げ落とし、その状況を確認した後に再び投下していることを重視。さらに、自転車を急ハンドルで避ける車の様子が映っていた高速道路の監視カメラ映像などから、死亡事故になる危険性を十分に認識していたと判断し、殺人未遂容疑に切り替えて捜査した。
 11月24日未明には県警捜査1課が主導して陸橋から自転車をロープでつるし、投げ落とす様子を再現する現場検証を実施。10日後の12月4日には、自転車を投げ込んだとして同容疑で少年4人を逮捕した。
 逮捕されたのは、川西市のアルバイトの少年(19)▽同市の職業不詳の少年(17)▽宝塚市の無職少年(16)▽同市に住む私立通信制高校の男子生徒(16)−の4人。地元の遊び仲間だという。4人は昨年12月25日に、殺人未遂の非行事実で家裁送致された。
 県警によると、逮捕時、3人は「悪ふざけだった」「殺すつもりはなかった」などと殺意を否認。職業不詳の少年は「そんなことはやってない」と投げ込み行為自体を否認した。投げ込まれた2台の自転車は、現場近くの駐輪場などから盗まれていた。
 ◆度越す「悪ふざけ」
 捜査関係者は「犯行自体は悪質だが、手袋も使わず痕跡を隠そうとする様子はみられないほどずさんだ。警察が捜査するとは想像していなかったのだろう」とあきれた。少年4人のうち2人は、事件の4日前にも同じ陸橋から自転車を投げ込んだことを認めている。また、現場から約100メートル西の陸橋に掲げられた啓発用横断幕のひもが切られており、県警は関連を調べている。
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 捜査から審判の過程で,警察官はもとより,検事,弁護士たる付添人,家裁書記官,調査官そして家裁裁判官と法律家達も彼ら少年らと接触したと思う。
 そのときに,日本の刑法が予定する「殺人未遂罪」における「殺意=故意」とはどのような状態なのかを分かりやすく説明していることを期待したい。
 それでも自己の行為を「悪ふざけ」で「殺意無し」と主張するのであれば,規範意識が足りないから,矯正教育を要する,とみるべきだ。
 しかし,案外,そこにすれ違いがあると思う。
 その場合,少年院送致となる少年等に,不満と不満足が残る。収容後も矯正教育の効果があがらない状態で入院することとなっていないか,,,,それを危惧する。
 ともあれ,こうした「悪ふざけ」が横行しやすいモラルハザードの時代に日本は入ってきた。少子高齢化とともに直面する,日本の衰退減少の一局面である。
 残念に思うが,リアルに見ておく必要もある。
posted by justice_justice at 08:42 | TrackBack(0) | ■裁判ー起訴された事件 | 更新情報をチェックする

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