2014年01月22日

■逮捕状と被害者の秘匿ープライバシーと防御

■「再被害を防ぐ:加害者への視点/上 強姦容疑者に匿名の逮捕状/防御権と二律背反/山梨」毎日新聞2013/04/18(山梨版,朝刊)

 2013年によく話題となったテーマである。捜査と裁判の場で,どこまで被害者の特定性を秘匿するべきか。
 被害者の匿名は,供述の信用性,さらに被害事実の存否と態様の信用性にも影響を及ぼすことになる。ことにえん罪の場合,被疑者・被告人側は,防御のための重要な手がかりを失うことにもなる。
 どうすべきか?
 
***引用***
 県警が今年1月、初めて被害者名を記載しない逮捕状で強姦(ごうかん)事件の容疑者を逮捕して注目された。神奈川県逗子市のストーカー殺人事件を受け、再被害を防ぐためにとった措置だ。ただ、起訴状など裁判段階での匿名化は難しく、実効性に疑問が残る。深刻化するストーカー犯罪や性犯罪。再被害防止へ根本的な解決を図ろうと、加害者側を分析し、治療を試みるなど新たなアプローチが始まっている。【片平知宏】
 昨年11月に神奈川県逗子市で起きたストーカー殺人事件では、警察が逮捕状に記した被害者の結婚後の名字などを読み上げ、容疑者が住所を特定した可能性が指摘された。警察庁は昨年12月、被害者情報が知られない配慮を都道府県警に通達した。
 これを受け、県警は今年1月、2003年に起きた強姦致傷事件の容疑者の男を、初めて被害者氏名を記載していない逮捕状で逮捕。男は別の強姦致傷事件で同2月に再逮捕され、この時は逮捕状、起訴状とも被害女性の旧姓が記された。
 最初の事件は不起訴になり、起訴状は作られなかった。ただ、検察幹部は「ケース・バイ・ケースだが、被告にも防御権がある。被害者名も起訴状に書くのが原則という検察のスタンスは変わらない」と話す。罪を立証しようとする検察側に対し、被告側には対等な立場で反論する「防御権」がある。刑事訴訟法も起訴状では事実を特定し、具体的に記すよう定めている。
 これに対し、捜査現場に携わる県警幹部はいらだちを隠さない。「逮捕状で匿名にしても、起訴状で全部分かる。何の解決にもなっておらず、法改正が必要だ。(防御権を重視する)検察は思い違いをしている」と憤る。・・・
 犯罪の防止か、被告が公正な裁判を受ける基本的権利の保護か。まさに二律背反の状況だ。
*****
 編者は,ドライに割り切ったコメントであるが,次のように指摘している。
 
■匿名の逮捕状について、甲南大学法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「かなり無理した形だ。人を裁く以上、被害状況は証拠で裏付けなければいけない。被害者の特定は不可欠」と指摘する。「被告は死刑や有期懲役にもなり得る。将来再び被害を起こすという推測に基づき、被告の防御権を制限できるのか。冤罪(えんざい)の温床になりかねない」と語る。
posted by justice_justice at 09:13 | TrackBack(0) | ■事件ー捜査から起訴まで | 更新情報をチェックする

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