2014年01月16日

■川崎・集団強姦犯逃走事件(4)ー携帯電話「微弱電波探知」について

■逃走容疑者の居場所、借りた携帯の電波で特定
Yomiuri On Line(2014年1月10日08時19分 読売新聞)
 上記記事は,杉本容疑者の身柄確保のきっかけが,同人が友人から入手した携帯電話の発する微弱電波の探知によったことを紹介している。
***引用***
 横浜地検川崎支部から逃走し、9日午後に集団強姦ごうかんなどの容疑で改めて逮捕された無職杉本裕太容疑者(20)が、複数の友人に手助けさせ、神奈川県内を転々としていたことが、捜査関係者への取材で分かった。
 川崎市多摩区の友人宅に潜伏していたほか、車で移動していたことも判明。しかし、大規模な捜査網をかいくぐった杉本容疑者の居場所を警察に知らせたのは、友人から借りた携帯電話の微弱電波だった。
 友人の携帯電話を使い、車で移動している――。神奈川県警が交友関係からその情報をつかんだのは、逃走翌日の8日。杉本容疑者は自宅がある川崎市の高校を中退しており、中学時代の親しい友人らに接触を図るとみてマークしていた。・・・県警は8日夜から、友人が所有する車のナンバーや、杉本容疑者に貸した携帯電話の番号を次々と割り出した。そして9日午前、携帯電話の微弱電波を捉えた。発信場所は横浜市泉区だった。
******
 そして,このあたりに捜査員が大量投入されて,結果的にこの地域に潜む容疑者の身柄を確保できたという。

■では,記事で簡単に紹介されている微弱電話探知は適法か。
 実は,実体そのものが明らかではない。各都道府県警察で,本部長決裁手続によって緊急かつ重要事犯の捜査のために使っているようだ,とは分かる。おりおりの新聞記事で,微弱電波探知で,容疑者や被害者(場合によっては遺骸)の発見に至ったことを紹介する記事も散見される。
 が,基本的にはベールに包まれた装置と措置。刑事裁判でも,こうして犯人逮捕に至った経過自体が証拠に出てくることはまずない。
 では,捜査として許されるか。スイッチをオンにした携帯電話が各個体ごとに異なる周波数の微弱電波を発しているとしよう。そしてこれを探知できる高性能のレーダーがあるとしよう。
 これによって,携帯電話の所在を確認する捜査は,誰のどんな権利を侵害するのか?
 市民は,捜査機関が濫りに市民の携帯電話の所在場所を探り出さないことを期待するプライバシーの権利はある,と云えばある。しかし,逃走容疑者が自己の所在を捜査機関に知られないこと,これを法的に保護に値する利益とは考える必要はない。
 だから,特段あらかじめ法律で「微弱電波探知」という法的手続を定めておかなければできないと考える必要はない。
 他方,本件では,集団強姦犯として疑われている容疑者が逃走したものであって,所在確認をする上で,携帯電話を所持している間に,またスイッチをオンにしている間に,急いで微弱電話を探知して所在を確認する緊急性がある。
 また迅速に所在を確認して身柄を確保するのには,現に携帯を身につけていることが合理的に予想できるのであれば,携帯の所在を確認し,身柄を確保する方法を採る必要性も認められる。
 しかも,常時行動監視のために使っているのではなく,留置中逃走した容疑者について,現に友人から携帯電話を受け取っているという情報がある範囲で,身柄確保の目的で,携帯電話の微弱電波の発信源を確認するものである。プライバシー侵害の程度は極めて限定されている。
 他方,捜査目的も明確で限定されている。その意味で,捜査機関がかかる目的で微弱電波を辿って容疑者の身柄を確保する方法は社会的にも認容されるものであって相当である。
 こう考えると,今回の微弱電波探知措置は,適法な任意の捜査と考えるべきだ。
posted by justice_justice at 00:05 | TrackBack(0) | ■事件ー捜査から起訴まで | 更新情報をチェックする

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