2014年01月12日

■川崎・集団強姦犯逃走事件(2)ー二度目の逮捕について

【Q】2:報道では,再び指名手配をして逮捕したという。逮捕状はどうなっていたのか。
(1)今回の事件で,杉本容疑者(被疑者)は,逮捕された後,警察へ引致されて,その後検察官が勾留を裁判官に請求する準備のために,検察庁の支部に身柄が連行されているうときに起きた。検察官への送致後,なお留置中の逃走である。
 では,二度目の逮捕の根拠はなにか。
(2)そもそもの逮捕が,通常逮捕,緊急逮捕どれなのか報道の限りでは定かではない。6日の午前3時に逮捕となっている。とりあえず,あらかじめ令状が出ていたとしよう。
 警察は,現場で,容疑者(被疑者)に令状を提示して,逮捕状を執行する。「逮捕」という法的な状態となる。要するに,本人には法的に自由を拘束された状態=勝手に行動できない義務が課され,これに反しても実力行使ができる。
 逮捕状には,通常引致すべき場所が指定されている。
 つまり,「逮捕⇒引致」は逮捕状によって一体として行える自由の拘束である。
 引致という身体の移動のためだけの令状審査はしない。逮捕状発付あるいは適法な逮捕がなされたことに伴う法定の強制処分である。
(3)「引致」までは,逮捕の効果の延長なので,通常逮捕の場合,この間に逃走したときには,あらたな令状は要らない。今の令状の執行の枠内で,再度拘束していい。
 次に,「引致」すべき場所に連行された容疑者(被疑者)は,「留置」の段階に入る。これも,適法な逮捕にともなって法定されている身体の拘束である(この場合にも特別の令状審査はない。強制処分として法定されている)。
 「留置」とは,引致後,法定の手続をとり,留置要否の判断をする期間拘束できる処分をいう。
 警察捜査の場合,身体拘束から検察官に送致するまの48時間,検察官が受理してから勾留請求するまでの24時間,身体拘束から計算して勾留請求するまでの72時間を限度とする身体拘束である。
 なお,検察官が勾留請求をしてから,勾留状発付⇒勾留状執行まで若干のタイムラグがあるが,この間の身体拘束も,留置に伴うものとして法定強制処分と扱うべきである。
(4)容疑者(被疑者)が,「引致」されて「留置」の段階に入ると,逮捕状の効力は消滅する。したがって,この後,勾留されるまでの間に逃走した場合には,再度逮捕状の発付を得て身体拘束をしなければならない。
 ここで,次の問題が生じる。
 同じ被疑事実で,二度も逮捕していいのか。
 捜査機関が誠実に捜査をしても,1巡目の逮捕勾留では起訴不起訴を決定できない場合を否定はできない。この場合,刑事訴訟法も同一被疑事実での逮捕勾留を否定はしない。実例もある。
 他方,今回の事例は,当初の逮捕状の効果が容疑者(被疑者)本人の逃走で失効してしまったものだ。再度の逮捕状発付とその執行による身柄確保は当然に許される。

<犯罪捜査規範31条(指名手配)>
1 逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する手配を、指名手配とする。
2  指名手配は、指名手配書(別記様式第二号)により行わなければならない。
3  急速を要し逮捕状の発付を受けるいとまのないときは、指名手配書による手配を行つた後、速やかに逮捕状の発付を得て、その有効期間を通報しなければならない。
posted by justice_justice at 06:21 | TrackBack(0) | ■事件ー捜査から起訴まで | 更新情報をチェックする

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