2014年01月07日

■裁判員裁判の「死刑」,裁判官裁判の「無期」ー市民v.裁判官(下)

■「裁判員の死刑判決破棄/東京高裁が初/『前科重視は誤り』/強盗殺人に2審無期」四国新聞(朝刊)2013/06/21
裁判員裁判と死刑事件の関係について,引き続き検討する。
高裁が裁判員裁判の死刑判決を破棄した事件について,別の新聞は次のように紹介する。

***引用***
 妻子を殺した罪で服役を終えた半年後、強盗目的で男性を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われ一審で死刑を言い渡された無職伊能和夫被告(62)の控訴審判決で東京高裁は20日、「前科を重視し過ぎて死刑を選択したのは誤りだ」として、裁判員裁判の一審東京地裁判決を破棄、無期懲役を言い渡した。裁判員裁判の死刑判決が破棄されたのは初めて。2011年3月の一審判決は極刑を選択した理由を「2人を殺害した前科を重視すべきだ」としていた。
 村瀬均裁判長は判決理由で、前科を重視して死刑となった判例について分析。「多くは殺人や強盗殺人の罪で無期懲役となり、仮出所中に前科と似た強盗殺人罪を犯した場合だ」と指摘し「伊能被告の前科は口論の末に妻を殺し、無理心中を図って子どもも殺したケースで、今回の強盗殺人とは類似性が認められない」と述べた。
 その上で(1)今回の事件は被害者が1人(2)殺害を事前に計画しておらず、当初から殺意を持っていたわけでもない―ことから「前科を除けば死刑を選択できない事件」と認定。「裁判員と裁判官が議論を尽くした結果だが、破棄は免れない」と結論付けた。
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 「被告が不在のまま、市民の判断を覆す判決が言い渡された。裁判員裁判で死刑とした一審判決を破棄した20日の東京高裁判決。2年前の一審で黙秘を貫いた伊能和夫被告(62)はこの日も姿を見せず、裁判長の乾いた声だけが法廷に響いた」という。
***引用***
 冒頭、村瀬均裁判長は「被告は来ませんね」と弁護人に確認した後、眼鏡を掛け替え、手元の紙に視線を落とした。数秒間の重苦しい沈黙。「原判決を破棄する」。傍聴席がざわついた。
 言い渡しは30分余り。閉廷後、弁護人は取材に対し、極刑が回避されたことには納得の表情を浮かべつつも「理性的な判断だが、被告は犯人ではない、と主張しているので上告すると思う」と表情を引き締めた。
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 なお,弁護側は「殺害していない」と無罪を主張しており、上告する方針という。

***引用***
「肩の荷下りた」裁判員務めた女性
 「肩の荷が下りた」。伊能和夫被告(62)に死刑判決を言い渡した東京地裁の裁判員裁判で、裁判員を務めた50代の女性は、20日の控訴審判決が死刑を破棄して無期懲役としたことを聞き、安堵(あんど)の言葉を漏らした。
 女性は一審判決後、伊能被告が控訴したことを知り、東京高裁の判断が気になっていたという。「これまで重い荷物を背負っていた気分だったので、少しほっとした」と話した。
 一方で「死刑判決は他の裁判員や裁判官と納得がいくまで悩みに悩み抜いて出した結論。あれはなんだったんだろう、とも思う」と複雑な心情も明かした。
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・この記事は共同通信配信で,各地の地方紙などで掲載されているが,ここでは四国新聞を引用することとする。同記事の中で,編者は次のコメントを寄せた。

■裁判員の量刑尊重すべき
 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話 東京高裁がプロの裁判官独自の量刑感覚を基準にして一審の死刑判決を破棄したのは不当だ。市民が殺人の前科のある被告に対し、人の命を軽視する姿勢や黙秘して事件への真摯(しんし)な反省や更生への気持ちを示さない態度を踏まえ、犯罪の残虐さや突発的といえないことも考慮して死刑を選択したのは妥当であった。経験則・合理則に明らかに反する量刑判断の不当さを指摘できないのであれば、控訴審は裁判員裁判の量刑を尊重すべきだった。
posted by justice_justice at 05:09 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

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