2013年12月26日

■「組織犯罪」「組織罰」−JR福知山線事故異聞

■「『組織罰』創設へ署名/JR西元3社長無罪/遺族ら活動へ」
読売新聞(朝刊)2013/09/28
***引用***
 「JR福知山線脱線事故で業務上過失致死傷罪に問われた井手正敬氏(78)らJR西日本の元社長3人に対し、無罪を言い渡した27日の神戸地裁判決は、企業の事故で被害者らが望む刑事責任を問う難しさを浮き彫りにした。遺族からは企業を罰する「組織罰」導入を求め、署名活動を始める意向も示された。(黒川絵理、本文記事1面)
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 こんなリードではじまる記事である。福知山線事故で,会社幹部等の刑事責任が問われなかったことに対する遺族等の怒りが,このような方向へ向かっているようだ。
 賛否両論があろう。刑事政策として,独禁法違反のように多額の課徴金を支払わせるのと同様の制裁金や業務停止など企業活動に沿ったある種の刑事罰は考えられる。
 ただ,その前に,「事件」と「事故」の線引き,事故は対策を講ずるべきで,処罰で対処しない冷厳な政策が前提でなければならない。
 ある識者はこのように言う。
***引用****
 ◆導入慎重論も根強く 
 「刑法の処罰は個人が対象だ。同志社大の川崎友巳教授(刑事法)によると、企業活動が活発でない明治時代に制定されたことが根本にあるという。川崎教授は「現代では企業活動中に事故が起これば被害は甚大になるが、会社の罪は問われない。法が時代に合わない」と組織罰導入を主張する」。
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 ブログ編者は,慎重論だ。
 「また、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は『企業に刑事罰を問うのであれば、経営幹部は企業利益を守るため口を閉ざす。真相解明につながらない』と指摘する」。

 但し,今は少し異なる。
 まず,事故と犯罪は異なる。組織ぐるみの犯罪がある。個人で言う「故意犯」さらには「確信犯」だ。
 この場合には,個人責任と同じく,法人責任を問い,法人の役職者についても個人責任としてではなく,役職者責任を問うことは別途検討してよい。住友重機のデータ改ざん,各地のホテルの材料偽装などなどがそれにあたる。企業の過失と故意の線引きは,証拠に基づけばよい。コンプライアンスの守れない企業は存続させるべきではない。その結果,いわば善意の社員が犠牲になろうとも,刑罰としての会社閉鎖も含む「企業社会のための刑法」の策定は考えてよい。

posted by justice_justice at 13:23 | TrackBack(0) | ■(ケース)JR福知山線事故■ | 更新情報をチェックする

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