2013年12月21日

■起訴状の記載ー被害者のプライバシー保護と被告人の防御の利益

■「性犯罪やストーカー事件――匿名起訴状、司法手探り(フォローアップ)」
 日経(朝刊)2013/10/14は,上記の表題で,性犯罪などについて,起訴状に被害者の氏名など被害者特定事項を記載すべきか,問題にする。これを認める利益はある。なによりも被害者のプライバシーの保護だ。次に,氏名が広がることによる二次被害の危険性だ。さらに,犯人からの復讐や再度の攻撃の危険さえある。他方,被害者が特定されていなければ,防御に支障がである。被害のでっち上げ,誇大化などえん罪の温床になる。
 記事は,次のように述べる。
****以下,引用*****
 東京地裁で9月11日、強制わいせつ罪に問われた被告の公判が開かれた。女児が公園のトイレに連れ込まれ、被害に遭った事件。検事は女児の実名を伏せ、母親の氏名と続き柄を記した起訴状を提出した。
 地検は5月に起訴した際、「被告がトイレに連れ込んだ児童」との表現にとどめた。「加害者は見ず知らずの男で、実名を明かせば二次被害の恐れがある」というのが理由。しかし、地裁は氏名の記載を要請。検察幹部は「譲歩しなければ公判打ち切りの可能性もあった」と打ち明ける。
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 実際にも,実害の事例もある。「・・・検察は従来の原則を変えた。昨年11月に起きた神奈川県逗子市のストーカー殺人事件も要因の一つ。警察が別事件で元交際相手の男を逮捕する際、逮捕状に記載した被害者の氏名などを読み上げたことが、後の惨劇につながったとされる」と記事は続く。
 最高裁は,記事によると,今年9月中旬、埼玉県和光市の司法研修所に約20人の刑事裁判官を集め、「再被害の恐れが高い例外的な場合は匿名の必要性が高くなる」との意見で一致したという。

 このテーマについてさしあたり,上記記事に次のコメントを掲載した。

■渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)は「起訴状の記載内容にとどまらず、公判全体を通じた被害者の権利への配慮が必要」と指摘。「被告の防御のため、被害者の実名が不可欠か否かは事案によって異なる。裁判所と検察、弁護人が事例を積み重ねながら、今後のルール作りを進めていくべきだ」としている。
posted by justice_justice at 05:45 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

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