2013年12月18日

■名張ブドウ酒事件のてんまつー冤罪救済の道を閉ざす最高裁

◆名張ブドウ酒事件の再審の最近の動きは次のようなものだ。
2005年 4月5日、名古屋高裁(第1刑事部・小出ロ一裁判長)が再審開始を決定した。同時に死刑執行停止   の仮処分が命じられた。
   12月26日に名古屋高裁(第2刑事部・門野博裁判長)が再審開始決定を取り消す決定を下した(死刑   執行停止も取り消し)。 
2010年 4月 5日,最高裁は,決定で、犯行に用いられた毒物に関し「科学的知見に基づき検討したとはい   えず、推論過程に誤りがある疑いがある。事実解明されていない」と指摘し、再審開始決定を取り消   した名古屋高裁決定を審理不尽として破棄し、審理を名古屋高裁に差し戻した。
2012年 5月25日、名古屋高裁(下山保男裁判長)は『捜査段階での被告人の自白に信用性が高い』と看做   し、検察側の異議申立てを認めて本件の再審開始の取り消しを決定。
2013年10月 16日、最高裁判所第1小法廷(桜井龍子裁判長)は名古屋高等裁判所の再審取り消し決定を支   持し、第7次再審請求にかかる特別抗告について棄却する決定を下した。
2013年11月 5日、弁護団が名古屋高裁へ第8次再審請求を申立。

以下は,10月16日の最高裁の再審開始を否定した決定に関する記事とコメントである。

■讀賣新聞平成25年10月18日付け(中部,朝刊)は「名張毒ぶどう酒・最高裁決定 農薬巡り激しい科学論」として,次の記事を掲載した。

*******以下,引用********

  第7次再審請求で焦点となったのは、捜査段階で奥西死刑囚が使用したと自白した農薬「ニッカリンT」を巡る科学論争だった。
 2002年4月に始まった再審請求で、弁護側がニッカリンTの鑑定結果など5点を新証拠として提出。名古屋高裁刑事1部は05年、毒物がニッカリンTでなかった疑いがあると判断するなど、3点を新証拠と認め、再審開始を決定。しかし、同高裁の別の裁判部での異議審は、3点の証拠がいずれも無罪を裏付ける証拠と認めず、決定を取り消した。
 続く特別抗告審では、弁護団、検察側双方が学者の意見書などを提出し、激しく争った。このため、最高裁は10年、「科学的知見に基づく検討をしたとはいえず、いまだに事実は解明されていない」とし、審理を差し戻した。
 差し戻された名古屋高裁では、製造中止となっていたニッカリンTをメーカーに製造させ、成分を分析する新鑑定を実施。その結果を基に、高裁は昨年、使用された毒物をニッカリンTだと認め、自白には信用性があると判断していた」。
***
 この事件に関して,次のコメントを掲載した。

 ◆真相解明の機会奪う 
 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話「奥西死刑囚が犯人であることに合理的な疑いが残っていると感じられ、真相解明が優先されるべきだ。そのためにも再審を行って証拠を検討する機会を持つ必要があると思うが、今回の最高裁決定はその機会を奪ったもので評価できない。最高裁が再審開始のハードルを高くして、その道を閉ざしている」
posted by justice_justice at 06:56 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

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