2013年12月17日

■児童虐待を疑われる事件と防止への道

 和歌山市のある会社員は平成25年7月、自宅で長男(2才)の頭に複数回暴行し、死亡させたとして逮捕された。児相は昨年2月から長男を乳児院に入所させていたが、面会や外出、外泊を計65回重ね事件の約2週間前に自宅に戻していたという。下記記事の段階では,父親は一貫して容疑を否認しているという。
 以下,新聞記事を引用し,編者のコメントを転載する。

■「不起訴の説明/児相になく/傷害容疑2件/父に疑念も帰宅判断/和歌山」
2013/11/05 大阪読売新聞 朝刊 39ページ 1740文字 書誌情報
 ◆防げなかった2歳虐待死    
 和歌山市で起きた男児虐待死事件では、児童相談所(児相)は父親の虐待を疑いつつ、保護していた男児(長男)を家に戻した。2年前、長男への二つの傷害容疑がいずれも不起訴(起訴猶予)になった父親について、その理由は和歌山地検から伝えられておらず、児相関係者は「(父親らに)『潔白』と受け止められ、故意の虐待との認識を持たせられなくなった」と明かす。それでも、面会などを重ねて最終的に帰宅を決めた児相、そして捜査機関が「危険性を認識できた」との事実は消えない。事件を防ぐことはできなかったのか。
 「(死亡という)結果なので判断が甘かったと言われれば致し方ないが、(帰宅させた判断が)間違いと言われるとすれば残念だ」
 父親が傷害致死容疑で逮捕された先月23日、和歌山県子ども・女性・障害者相談センター(児相)の巽清隆所長は記者会見で、結果責任の重大さを認めつつ、家族関係の修復を図った対応への苦悩をにじませた。
 父親は2011年11〜12月、長男の右の太ももを踏んで骨折させたり、顔に肩を打ち付けたりして負傷させたとして逮捕、再逮捕されたが、地検はいずれも起訴猶予とした。
 起訴猶予は「罪を犯した事実は認定できるが、起訴するほどの悪質性がない」などの場合の処分で、同じ不起訴でも証拠が足りない嫌疑不十分などとは異なる。傷害容疑は、児相が県警に通報したもので、児相関係者によると、捜査機関から処分結果の連絡はあったが、理由説明はなかったという。
 児童虐待問題の専門機関「子どもの虹情報研修センター」(横浜市)の川崎二三彦研究部長は「虐待の容疑での逮捕者が、起訴猶予とはいえ不起訴になると、その者を含む保護者側は無罪と受け止め、虐待の改善を求める児相の立場は弱くなる。不起訴理由を詳しく知ることができない児相は、疑問を抱えたままの対応を迫られるのが現状」と話す。

◆「捜査情報の共有 法整備を」 
 甲南大法科大学院の渡辺修教授(同)は「起訴猶予がどうかではなく、児相が起訴猶予を甘く捉えすぎたのではないか」と話す。児相は今回、厚生労働省が家庭復帰の判断材料とする項目の中で「(保護者が)虐待の事実を認め、問題解決に取り組んでいる」について、「当てはまらないが、総合的に帰宅を認めた」とした。渡辺教授は「家庭に戻す判断はもっと厳しくすべきだ。ただ、不起訴理由が児相に伝えられる場があってもいい」とする。
posted by justice_justice at 05:25 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

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