2013年12月16日

■ふたつの書類偽造事件ー「調書」文化の弊害

■大阪府警、虚偽調書問題――チェック体制機能不全、問われる警察の姿勢。
2013/12/13 日本経済新聞 大阪夕刊
 不正に気づいて正す機会はあったのに隠蔽を繰り返し、最後は偽証まで――。堺署の虚偽調書問題は、府警という組織のチェック体制が「機能不全」に陥っている実態を改めて浮き彫りにした。
 事件当日、留置管理課の警部補から虚偽調書の作成を指示された当直の生活安全課の警部補は、当直の責任者にやめるよう進言した。しかし当直の責任者は、留置管理課の警部補の説明をうのみにし、署長や副署長にも報告しなかった。
 「1つ目」の虚偽調書の発覚後、府警本部の刑事総務課の指導官(60)が堺署に派遣された。しかし指導官は、書類を見ただけの推測で「巡査長と巡査が上司の叱責を恐れて話を合わせた」とする調書のサンプルを作成し、刑事課員に渡した。刑事課員は「刑事総務課からそうするよう指示された」と思い込み、「2つ目」の虚偽調書の作成に至った。
 その後、指導官は、巡査長と巡査の報告書に「警部補が調書を作り替えた旨の報告があった」などと書いたメモを付け、刑事部長ら幹部5人に提出。しかし、口頭では「訂正調書で対応できる」などと伝え、十分な説明をせず、幹部らも書類を精査しなかった。
 指導官は、関西空港署で2011年に起きた取り調べ時の暴行事件などの不祥事を受け、昨年3月に新設されたポストだった。府警幹部は「チェック機能が働かなかった。報告体制や本部の指導を強化しなければならない」と話している。

◎甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「調書の体裁さえ整っていれば構わないと思いがちな警察の体質から問題が放置された」と指摘。「警察は問題を直視して速やかに改善策を取るべきだ。検察も警察内部の捜査を待たず捜査に乗り出すなどして警察の姿勢を問う必要がある」と話している。

■丹波市水道部 文書偽造問題 不適切前払い2件目発覚 3人の告訴取り下げへ 市長「組織で常態化」
2013/12/04 神戸新聞朝刊 30ページ 845文字 書誌情報
丹波市水道部 文書偽造問題
不適切前払い2件目発覚 3人の告訴取り下げへ 市長「組織で常態化」
 丹波市水道部の職員が、2011年度に発注した設計業務が終了していないことを知りながら「完了した」と偽って公文書を作成し契約金を支払っていた問題で、市は3日、「同様の事例が10年度にもあった」と発表した。市はこれまで「同様の事例はない」と繰り返してきたが、一転して水道部で虚偽文書の作成が常態化していたことを認めた。(小尾絵生)
 市は11年度発注分の問題で、職員3人を虚偽有印公文書作成・同行使容疑で刑事告訴しているが、「個人の資質ではなく水道部の体質の問題」だとし、告訴を取り下げる方針も明らかにした。
 今回新たに発覚した問題は、10年度実施の設計業務が完了していないのに契約金全額を支払っていたという。この設計に基づき着工。14年度に完了する予定だったが、設計資料が一部欠落していたことから、設計業務が終了していないことが判明した。契約金額など事案の詳細について、市は「警察が捜査中のため公表できない」としている。
 市は先に発覚した11年度発注分の虚偽文書問題以降、水道部を調査。市議会などで「同様の案件は他には確認されていない」と説明しており、会見した辻重五郎市長は「職員に裏切られた思い」と語った。
 さらに辻市長は「(不適切な業務が)常態化しているとみられ組織に責任がある。3人にだけ処罰を求めるのは違う」とも話し、「警察の捜査が終わり、贈収賄がないと判明した時点で告訴を取り下げる」とした。
 また、捜査終了後にあらためて職員に対する処分を行うという。

◎市役所全体に波紋も 甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)の話
 水道部の問題にとどまらず、行政組織全体に波紋が広がる可能性がある。告訴を取り下げても捜査は続く。税金の適正な使用や処理ができておらず、構造上の問題をえぐり出す必要がある。

■書類操作で,事実を糊塗する。よくもあしくも日本的な官僚主義の悪弊だ。警察と行政。公権力の側の共通の行動パターンなのかもしれない。
 「調書」文化の構造改革がない限り,今後も繰り返されるだろう。
posted by justice_justice at 07:31 | TrackBack(0) | ■事件ー捜査から起訴まで | 更新情報をチェックする

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