2013年01月15日

■国松元警察庁長官狙撃事件異聞ーアレフに対する名誉毀損と警察の情報捜査

■1:ネット配信、MSN産経ニュースによると、「『刑事司法を根底からゆるがす』と非難/警察庁長官狙撃の捜査結果公表/都に100万円支払い命じる/東京地裁」と題する記事を掲載している(2013.1.15 15:23 )
 以下引用する。
 「公訴時効が成立した平成7年の国松孝次警察庁長官(当時)銃撃事件で、警視庁が「オウム真理教信者による組織的テロ」とする内容の捜査結果を公表したことで名誉を傷付けられたとして、教団主流派「アレフ」が東京都などに5千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、東京地裁であった。I・H裁判長は結果公表について「重大な違法性を有する行為」と認定。都に100万円の支払いと、アレフに謝罪文を交付することを命じた。
 警視庁は平成22年3月の時効成立を受けた会見で「オウム真理教の信者グループが、教祖の意思の下に、組織的・計画的に敢行したテロであった」と捜査結果を公表。・・・I裁判長は「犯人を『オウム真理教』『教団』と直接的に指し示していないが、一般読者はオウム真理教が組織的・計画的に事件を実行したとの印象を受ける」と指摘。アレフの施設建設に伴う住民の反対運動などを挙げ「アレフがオウムと同様の危険性を有する宗教団体と認識されていることは明らか」として、アレフの名誉が毀損されたと結論付けた。・・・
 判決はさらに、不起訴処分とした事件の捜査結果公表について「無罪推定の原則に反するばかりでなく、我が国の刑事司法制度の基本原則を根底からゆるがすもの」と厳しく非難した」。

■2:記事を読みながら、こんな感想を抱いた。
(1)警察は、今までも、見込み捜査を真実と発表することでマスコミを利用し、容疑者など事件関係者に圧力をかけて、自白を強要し、えん罪を生んできた。その体質をふたたび露呈したもので、これを強く批判した判決は正当だ。
(2)警視庁刑事部では当時元オウム真理教関係者以外の有力な容疑者を対象に捜査していた。
 刑事警察の手法を用いて地道に証拠を重ね、状況証拠による事実認定を慎重に行っていけば、案外、真相解明、真犯人到達に至った可能性もあった。
 あくまでも、オウム真理教関係者の犯行という見立てにこだわったのは、公安警察だ。が、捜査は失敗。
 あたかも、これを覆い隠すため、非難の矛先を元オウム真理教の後継組織である、アレフに向けさせようと世論操作しようとしたことは明白だ。
 許し難い情報操作だ。
(3)公訴時効を迎える時点で犯人を特定できる証拠はなかった。だが、公安部の見込み捜査が真実であるかのように発表し、公安の捜査を正当化するため世論操作に利用しようとしたものだ。
 これは、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事手続の原則、容疑者の名誉侵害を禁ずる刑訴法の原則を無視した権力濫用・人権蹂躙の典型だ。
(4)最近も、JR西日本の執行役員が痴漢事件で逮捕された事実を大阪府警が広く公表した後、釈放中自死したことも記憶に残る。
警察による「マスコミ利用」。
 「マスコミ操作」に便乗するマスコミの側の力量不足にも問題が残るが、やはり権力の側の情報操作力は強い。
 その控制を考えるべきだ。今後、逮捕した事実の取扱いも含めて、捜査情報の公平かつ公正な公表のありかたを第三者もまじえて検討するべきだ。
posted by justice_justice at 16:48 | TrackBack(0) | ■事件ー捜査から起訴まで | 更新情報をチェックする

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