2012年12月29日

■ストーカー犯罪と被害者保護ー「事件」警察から「予防」警察へ/ストーカー犯罪と国選弁護人

■「ストーカー容疑 逮捕状に被害者名書かず」。
 ネット上、YOMIURI ON LINEの2012年12月29日付け配信記事で、神戸からの発信として次の記事がアップされている。
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◇逗子事件受け県警、顔写真で確認
 県警は28日、2件のストーカー規制法違反事件の各容疑者を逮捕した際、逮捕状に被害者の住所や氏名は書かず、顔写真を添付する方法で本人確認をして執行した、と発表した。神奈川県逗子市で11月、デザイナー三好梨絵さん(33)が殺害された事件では、地元の逗子署が昨年6月、逮捕状に記載された三好さんの住所や現姓を元交際相手の容疑者に読み上げたことが問題となっていた。警察庁によると、ストーカー事件での同様の対応は初めてとみられる。
 発表によると、2人は、11月に飲食店員の10代の女性の顔を殴ったとされる住所不定、運転手大脇勉容疑者(60)(暴行罪で略式起訴)と、40代の会社員女性につきまとったとされる姫路市的形町、アルバイト従業員米沢知男被告(30)(ストーカー規制法違反で起訴)。いずれも今月中旬に同法違反容疑などで逮捕された。
 県警は、2人がそれぞれの被害者の正確な住所や氏名を知らないことを重視。被害者の氏名を隠すため、逮捕状を読む際、顔写真を添付して被害者を特定させた。地検も起訴状の氏名をカタカナ表記にするなどの配慮をした。
 逗子市の事件を受け、警察庁は今月20日、ストーカーや性犯罪などで再び被害を受ける危険性がある場合、被害者の通称名や旧姓を使うなど、プライバシーに配慮した内容で裁判所に逮捕状を請求するよう全国の警察本部に指示。県警はこの指示に先んじ、写真による確認を行ったという。
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■ストーカー犯罪は「予防」が鍵だ。その重要なステップは、被害者情報を加害側に秘匿すること。そして、実は、日本人の体質からも、ネット社会になってしまった外的環境の変化からも、そして、外から見る限りの日本の警察官僚組織の体質からも、「守秘」が徹底されにくい。
 次に、日本の警察は、官僚組織としての実績を上げるためにも、「事件」警察として動く傾向がある。つまり、「被害」が「過去形」になってから動く。「未来形」の段階で抑止し防止することに本格的に取り組んでいるのか疑問を持つ。
 しかも、21世紀犯罪の特質は、
  1:ネット犯罪 2:国際犯罪 3:ストーカー気質犯罪
 にある。
 ストーカー気質犯罪は、「過去形」犯罪での対応では後手に回り、結局、「殺人」といった取り返しの付かない「過去形」に至りがちだ。
 今回、逮捕状執行レベルでは、被害者特定情報の保護には成功した。
 しかし、弁録ー勾留質問ー被疑者取調べー起訴ー証拠調べ請求証拠開示ー類型証拠開示ー主張関連証拠開示、、、と続く長い刑事手続の枠内で、被害者保護をどこまで徹底できるのか、その角度から、運用面も含む検証が不可欠だ。
 他方、被疑者・被告人の防御の権利を侵害することはできない。事件の特定性は、被害者の特定によっている。それだけに、手続の適性を確保するため、被害者情報秘匿手続をおこなう場合には、必要的弁護事件として、逮捕状執行直後に国選弁護人を選任するなどの措置も必要である。


posted by justice_justice at 07:23 | TrackBack(0) | ■事件ー捜査から起訴まで | 更新情報をチェックする

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