2012年12月20日

■鳥取連続不審死事件(3)ー裁判員裁判と「黙秘権」

■「【沈黙】鳥取連続不審死、判決へ(下)長期日程、難しい事実認定」
 ○産経新聞(朝刊)2012/12/01

産経新聞は、被告人が「黙秘」した事実に焦点をあてる。裁判員が居る法廷で、事件についてなにも語らない選択をすることの意味。「黙秘権」として保障されるべき状態が、実際にもつ効果、、、。どうみるべきか。記事を紹介し、採用されたコメントを掲載して、考える材料にしたい。

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 ■裁判員心身に負担重く
 「本当にこの法廷で何も話さなくていいのか」
 10月30日。鳥取地裁で行われた被告人質問で、検察官がいくら追及しても証言台のY・M被告(38)は微動だにせず、裁判員らは一様に困惑した表情を浮かべた。
 公判を通じて「ほぼ完黙」だったU被告。被告人質問に一切答えないというのは、弁護側ですら公判前には想定していなかった事態だった。
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 弁護側は9月25日の初公判で、事件当時にU被告と同棲(どうせい)していた元会社員の男性(49)が真犯人だと主張し、被告本人が法廷で何を語るのかに注目が集まった。公判前整理手続きでも弁護側は黙秘の意向を示していなかった。
 ところが被告人質問直前の10月25日、「現時点の証拠関係だけで弁護人が求める結論を得るのは十分だと判断している」と黙秘を突然表明した。
 検察側の被告人質問は実施されたが、約40分間にわたる60項目以上の質問に、U被告はひと言も答えなかった。結局、法廷でU被告が肉声を発したのは、初公判の罪状認否と最終意見陳述での「私はやっていません」だけだった。
 裁判の争点で検察側と弁護側の主張は大きく異なっており、裁判員にとって、ただでさえ事実認定は難しい。さらに75日間という過去2番目の長さの任期の末、死刑求刑事件を審理するとあって心身ともに重い負担がのしかかる。
 ただ、黙秘権は憲法や刑事訴訟法で定められた刑事被告人の権利でもある。
 平成10年に起きた和歌山毒物カレー事件の公判では、H・M死刑囚(51)が検察側の被告人質問に対して約2時間にわたり沈黙したが、死刑を宣告した1審判決には「黙秘は一切、事実認定の資料になっていない」と明記された。

 □鳥取のケースについて、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「プロではない裁判員は被告に悪印象を持つかもしれないが、黙秘が不利益に扱われてはならない」と懸念。・・・

 「否認でも何でも、被告本人の言葉を聞いて判断したい気持ちがあった」
 殺人事件での裁判員の経験がある大阪府内の無職男性(68)はこう話す。自らの場合、被告は黙秘したわけではなかったが、「ひとつでも多く判断の材料がほしいというのが裁判員の心理だ」という。
 別の殺人事件で裁判員を務めた会社員の女性(26)も、鳥取の事件について「素人である裁判員にとって裁く相手が黙ってしまうのは苦しい。求刑が死刑ならなおさら。どうしていいか分からなくなり、結局は裁判官に頼ると思う」と重圧の大きさを吐露した。
 裁判員制度は、法律で「必要があれば見直す」とされた施行後3年が経過した。鳥取の事件は、難解な事件を裁判員裁判でどう扱うのか、今後の検討に影響を与えそうだ。
posted by justice_justice at 04:05 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

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