2012年08月25日

■「闇サイト」事件の闇ー二重処罰の回避と厳正処罰(上)

■ 中日新聞のネット配信ニュースでは、
  『碧南夫婦強殺で堀容疑者ら3人起訴』とでている(2012年8月24日/20時12分配信)。

 以下、記事を引用する。
 「愛知県碧南市で1998年、パチンコ店責任者のM・Kさん=当時(45)、Sさん=同(36)=夫妻が殺害され、現金などが奪われた事件で、名古屋地検は24日、強盗殺人と住居侵入の罪で、無職H・Y容疑者(37)ら3人を起訴した。
 H被告は、2007年に名古屋市で起きた「闇サイト殺人事件」の3犯人の一人。一審名古屋地裁判決は死刑だったが、二審名古屋高裁で無期懲役刑に減刑され確定している」。
 「起訴状によると、H被告ら3人は共謀し、1998年6月28日午後4時半ごろ、碧南市のMさん宅に侵入し、KさんとSさんをロープのようなもので首を絞めて殺害、現金6万円やブレスレット、金庫などを奪ったとされる。
 H被告ら3人とMさん夫妻に面識はなかった。捜査当局は、パチンコ店の客として出入りしていた3人がMさんを一方的に狙い、尾行してMさんの自宅を突き止めたとみている」。

■ H被告の認否はよくわからない。
 NHK(8月24日/20時49分)では、少なくとも「起訴された内容に対する3人の認否について、検察は明らかにしてません」と報道している。上記中日新聞では、「県警によると、3人は大筋で犯行を認めている。強奪した物の中には、パチンコ店の鍵も含まれていたとみられる」と紹介する。
 時事ドットコムの配信記事では、「捜査関係者によると、鍵束の中にはパチンコ店の鍵も含まれていたとみられ、3人の一部は夫婦を殺害後、Mさんが勤めていた愛知県尾張旭市のパチンコ店に向かったと供述。店の売上金などを奪おうとしたが、防犯システムがあったため、侵入を断念したと話しているという」と紹介(2012/08/24-19:33)。
 
■ もっとも、例えば、毎日新聞(2012年08月24日/23時00分,最終更新08月25日/01時48分)で、「県警捜査1課の未解決事件捜査専従班が11年夏、つまみの食べ残しに付いた唾液からDNAを検出した。H被告のDNAと同一の可能性が浮上し、仕事仲間だったST、HY被告の存在を突き止め、12年8月の逮捕に結びついた」という。H被告の現場所在は客観証拠から裏付けられるのであろう。また、少なくとも共犯者が一定程度の犯行に関する供述をしていると思われる。
 とすると、今後の公判前整理手続での争点整理、被告側の予定主張の提示等などを慎重に見極めなければならないが、基本的に犯行関与は証拠から推認できるのではないか。

■ 仮にこのように仮定したとき、今回の裁判で気になるのは、すでに闇サイト事件で無期懲役が確定し、H被告が服役中である事実だ。それよりも数年前に同種の、そして、実はより残虐な犯行を重ねていたとき、どのような量刑が妥当か。

 注意しなければならないのは、「二重処罰禁止」という大原則だ。憲法39条は「同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない」と明言する。
 最高裁も、「起訴されていない犯罪事実をいわゆる余罪として認定し、実質上これを処罰する趣旨で量刑の資料に考慮することは許されない」と釘を刺す。

 碧南市夫婦強殺事件、闇サイト事件と一緒に起訴されて公判が開かれ、事実が認定されたのであれば、極刑選択は十分に肯けるものとなろう。が、闇サイト事件については、それ自体として無期懲役で処罰するという国家の意思表示を固めている。捜査の限界、黙秘した被告の狡猾さがあろうと、刑事裁判で一度処罰した事実について、もう一度、今回の碧南・夫婦強殺と一体として実質的に再度裁判にかけて処罰することはできない。

 では、「闇サイト」事件は、量刑に影響を与えないのか。
 そんなことはない。⇒下に続く。 
posted by justice_justice at 08:58 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

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