2012年07月11日

告訴能力(続)ー少女の被害感情、処罰感情

『児童の被害救済に光/名高裁金沢控訴審判決/10歳の告訴能力認定/年齢相応の理解力基準』
 12/07/07 北日本新聞朝刊

■ 事件について記事を引用する。
 「10歳女児への強制わいせつ事件の控訴審で、名古屋高裁金沢支部は3日、年齢を理由に女児の告訴能力を否定した一審富山地裁判決を覆した。年齢相応の理解力に基づく被害認識と処罰感情があれば10歳児でも認めるとの判断を、識者は「子どもの被害救済につながる」と評価。つらい体験を告白する幼い被害者の支援態勢構築も課題となりそうだ。
 (省略)
 10歳だった女児が、母親の交際相手の男(42)から強制わいせつの被害に遭ったのは昨年6月。検察は15歳だった姉への準強姦(ごうかん)事件などと合わせ男を起訴した。
 だが今年1月の富山地裁判決は、女児への強制わいせつ事件1件で祖母の告訴権を認めず、処罰感情を訴える女児の供述を告訴とみなした検察側主張も「年齢が幼く告訴能力に疑問が残る」と退け、公訴棄却した。
 これに対し高裁金沢支部は、告訴能力について「犯罪被害事実を理解、申告し、処罰を求める意思を形成する能力があれば足りる」と判断。(1)少女は小学5年で普通の学業成績をあげる知的能力を持つ(2)被害状況を具体的に申告し、男を犯人と特定して処罰を求める意思を申告した―として告訴能力を認定した。」

■プロ達の意見が紹介されている。

 ▽支援態勢
 「義務教育に就学していれば、告訴能力はあると判断しうるとの基準を示した」。NPO法人「日本子どもの虐待防止民間ネットワーク」理事長を務める岩城正光弁護士は、控訴審判決の意義を強調。「この基準があれば、児童の意思を尊重して事件を立件しやすくなる。加害者を罪に問うことが容易になれば、児童虐待の防止につながる」と期待を込める。 

 ▽一方、適切な司法手続きを進めるためには、過酷な体験の告白をためらったり、処罰感情を十分に伝えられなかったりする児童への対応も迫られそうだ。
 児童への犯罪問題に取り組む有識者や弁護士からは、専門的な訓練を受けた面接者が、誘導や暗示に陥りやすい子どもの特性などに配慮しながら聞き取りを行う「司法面接」の推進を求める動きが出ている。

 ▽児童相談所や警察、検察などで司法面接の研修をしている北海道大大学院の仲真紀子教授(発達心理学)は「司法面接では録画もするため、後から客観的に分析することもでき、供述の信用性を上げられる。何度も聴取されることにより児童が二次被害を受ける状況を防ぐこともできる」。
 昨年9月には、日弁連が法務省などに導入を求める意見書を提出しており、仲教授は「人材も徐々に育っており導入に向け法整備を急ぐ必要がある」と訴える。

■ 次のコメントを掲載してもらっている。
 甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は控訴審判決を妥当としつつ「一審で裁判官が女児から聞き取りを行い、処罰を求める意思を自ら確認すべきだった。検察も女児に分かりやすく告訴の意味を説明し、告訴調書を作成する必要があった」と指摘する。


posted by justice_justice at 12:26 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

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