2012年06月28日

■「小さな」大事件ー防御の利益

■信濃毎日新聞のネット配信、2012年6月26日(火)では「諏訪署が国選弁護人選任忘れる 勾留男性を区検が釈放」と題する記事が報じられている。
 「留置担当官が容疑者の国選弁護人の選任手続きを怠った諏訪署」として、警察署の写真も掲載されている。
 こんな経過であった。以下、記事を引用する。

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 「諏訪署の留置担当官2人が、建造物侵入と盗み未遂の疑いで逮捕、勾留されていた住所不定、無職男性(36)から依頼された国選弁護人の選任手続きを忘れたため容疑者の権利を損なう恐れがあるとして、伊那区検は25日、この男性と、共犯として逮捕された名古屋市の無職男性(31)を、いずれも処分保留で釈放した。
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 2人は今月7日、駒ケ根市内の無施錠の工場に侵入し、配線ケーブルを切断して盗もうとした疑いで駒ケ根署が逮捕。管理面の事情から諏訪署に勾留されていた。県警捜査3課によると、共に容疑を認めていた。
 36歳男性は14日に諏訪署留置管理課の警部補(56)に、17日には同課の巡査(29)に、それぞれ国選弁護人を付けたいと申し出た。しかし、その後も弁護人は訪れず、男性が21日、別の担当官に「弁護人が来ないがどうなっているのか」と尋ね、手続きされていないことが発覚した。
 31歳男性は9日に国選弁護人を選任していた」。
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 長野地検によると、伊那区検が問題を知ったのは22日夕で、事実関係を確認後に同区検の判断で25日、釈放した。長野地検の小池充夫・次席検事は「弁護人の依頼権は容疑者の大切な権利。それを失念して拘束したまま調べるのは容疑者の防御権が保たれない恐れがある」としている」。

■担当官には、気の毒であるが、やはり重大な連絡ミスだ。というのも、被疑者が事件を認めている場合、弁護人は可能な限り、情状面の活動をする。被害者への連絡が可能か、警察、検察と打合せをするし、本人にも反省を促し、手紙を書かせ、謝罪と反省の気持ちをその段階毎に確認をする。
 弁護人がいるからこそ、「反省と謝罪」の形が整う。
 そのプロの援助なしに、被疑者が放置されたこととなる。その身体拘束を利用して、捜査機関は、一方的に「被疑者取調べ」を行い、被害立証のための有罪証拠集めを行っている。
 それでは、法248条の定める検察官の起訴便宜主義の適正な運用は望めない。
 こんなコメントを掲載してもらっている。
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 渡辺修・甲南大法科大学院教授は、今回の諏訪署員2人の対応について「弁護人に相談する権利は最も重大な権利で、あってはならないことだ」と批判。具体的には、容疑者が弁護人と相談し、示談や謝罪文などの「有利な情状」を整えられなくなる―と指摘した。一方、検察側が処分保留で釈放したことについては「(容疑者の)防御の準備を待つことは賢明な判断だ」と述べた。

posted by justice_justice at 14:57 | TrackBack(0) | ■事件ー捜査から起訴まで | 更新情報をチェックする

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