2012年05月25日

■名張毒ぶどう酒事件ー日本刑事司法「負の遺産」の解消のために

■1:再審の道開くべき
 奥西勝死刑囚の自白と異なる農薬がぶどう酒に混入された可能性は、今回の決定での裁判官の説明を踏まえても科学的に否定しきれていない。
 これまでの再審請求審で、死刑囚が歯で瓶のふたを開けたとする鑑定結果や、犯行場所に死刑囚が一人で居る時間があったとする住民たちの証言の信用性は揺らいでいる。
 密室の取り調べで得られた自白や住民の証言について、一審の無罪判決が信用できないとした点も重い意味を持つだけに、再審を認めて公開の法廷ですべての証拠を見直すべきだろう。

 最高裁は再審の道を開くべきだ。

■2:補足説明
(1)今回の決定の推論は、次の点にある。
 ぶどう酒にニッカリンTが長く混入していると、加水分解がすすみ、不純物がでなくなるという単純なものだ。トリエチルピロホスフェートが飲み残しのぶどう酒から検出されなかったのは、ぶどう酒の水のため加水分解がすすみ、検出されなかった余地があるというもの。
 だから、検察側の主張通り、混入物がニッカリンTでなかったとまでは言えないというだけのことだ。
(2)しかし、試験検体にペンタエチルトリホスフェートがいくらかでも残る可能性があって、トリエチルピオフォスフェートが検出されることがあるとすれば、事件検体である現場に残ったぶどう酒のほうでもこれが検出される可能性を科学的には否定できない。
(3)つまり、「ぶどう酒混入物が明らかにニッカリンTではない」とは言いきれないが、他面で、ニッカリンTであるとも断言できない状態である。
(4)とすれば、再審請求審、つまり、再審をするか・しないかを決める段階で、密室の審理のもと、しかも、再審請求の柱となる新規明白証拠のみと、旧証拠との総合のみで、判断するのは不相当だ。
 この際、「疑わしきは被告人の利益に」の原則を適用して、再審を開始して、公開公判で、関連する証拠全体と旧証拠を総合評価するべきだ。
(5)そのときには、密室で作られた住民の各種目撃情報が最終的に検察の冒頭陳述にあう形で修正されていった事実、被告人も例のごとく「自分の言い分を聞き入れてくれなかった」がために、「自白」に追い込まれる従来型のえん罪パターンが存在する事実、、、これを再度重視するべきだ。
 異議審、差し戻し後異議審は、「虚構の供述証拠」を死守するかの如く、他の客観証拠では、まだ信用性は揺るがないと断言する。
 が、裁判員裁判時代の市民良識の目で見返そう。
 密室取調べー警察と検察の権威を振りかざした、誘導と恫喝で、容易に検察「ストーリ−」に沿った供述に変遷していくことは、経験則でさえある。
 
 最高裁は、再審を開始するべきだ。
posted by justice_justice at 16:33 | TrackBack(0) | ■再審ーえん罪救済 | 更新情報をチェックする

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