2012年03月22日

■ハワイの3日ー司法通訳の現状と課題

 3月19日からハワイにいる。司法通訳の質保障にどう取り組んでいるのかを調査することが目的だ。昨年も同時期に訪問している。主にハワイ州立大学の法科大学院と通訳・翻訳研究センターを訪問。日本のベニース事件についてプレゼンをすることが専攻してしまい、帰国して振りかえると、ハワイ州の司法通訳の全体と実際について、踏み込んだ調査ができなかった。
 今回は、短期間であるが、そこに焦点を置いた。

 19日には、州最高裁の通訳サービスのコーディネートを担当している職員と、州最高裁の法廷を使って会議を持つことできた。
 基礎オリエンテーションを2日開き、これに参加することが司法通訳人に登録する第一歩となる。通訳人は、試験によって6段階に分類されており、報酬の基準額も異なる。「言語へのアクセス」を権利として被疑者・被告人に保障することを前提にして、制度の整備を進めている、という。

 20日、午前中、要通訳の重罪事件、陪審裁判が予定されていると教えてもらい、Circute Court へ出かけたが、予定の事件はそれぞれ被告人が不出頭のため手続が流れた。研究チームの各自の関心に従い、適宜法廷傍聴を行った。ブログ編者は、陪審員の選任手続を傍聴した。

 12名の候補を順次、陪審員席にすわらせて、弁護人と検察官がそれぞれの手持時間内に陪審員候補と質疑を交わして、「理由なき忌避(ないし不選任)」の申立をし、次の候補を入れる、という方法で陪審員団を作り上げていく。被告人は、弁護人の横に座って傍聴している。弁護人は、被告人にも意見を求めて、不選任申立をしている。

 この事件は、家庭内暴力の事件とのこと。午後から陪審裁判が予定されいるとのこと。
 残念ながら、ランチをはさんで、日本語通訳人との会食を予定しているので、裁判所を後にした。

 パワーランチには、ハワイで、ビジネス関係の通訳も手がけるAさんに時間を採ってもらい、2時間ほど、体験談とともに、今のハワイ州の司法通訳の問題点も教えてもらった。

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 午後2時30分。ハワイ大学到着。スー・ゼン教授の研究室を訪問して、2時間ほど、今後の司法通訳の質向上のための国際会議について意見交換。

 21日、午前、地区裁判所にいき、公判前の各種の手続を傍聴する。ベトナム人事件、韓国人事件、中国人事件(2件)等など。民事事件で、日本人が原告、被告の事件があり、質の高い日本語通訳人の通訳を傍聴(ただし、ブログ編者は、一部のみ)。ハワイ州の通訳人のレベルを知ることができるよき機会となった。

 ベトナム人の事件は、酩酊運転、速度違反の事件。
 しかし、弁護人は、酩酊テストについて、言語が分からないまま行ったものであり、公正な手続によらないので、証拠から排除することを申し立てた。排除の当否に関する聴聞手続がおこなわれた。被告人は保釈中。ベトナム人通訳人が横にたって、いわゆるwhispering での通訳。

 現場で酩酊テストを仕切った警察官の証言もwhisperingによる。ほんとうに理解できる通訳であったのか? 弁護人は、「あなたが聞きたいことはあるか」と尋問の最後に被告人に確かめていた。それ自体はいいことであるが、「なにを聞いていいのか」を被告人が理解できるような情報提供がなされたかどうかは、疑問であった。

 証拠排除に関して、被告人も「証人」として証言。宣誓の上、証言台に立つ。このときには、逐次通訳がなされていた。
 ただし、尋問の途中、検察官の異議、弁護人のあらたな排除申立、これに関する裁判官と弁護人、検察官の法律論争に発展、、、、通訳人は、あきらめ顔でみてるだけであり、論争終了後も誰も被告人に説明することはなかった。

 午後は、ブログ編者も、民事事件の本人尋問を傍聴。
 正確な通訳がなされている様子を確認できた(英語も日本語もわかるので)。質が高いと思った。
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 州最高裁では、2日の基礎研修のための教材をもらった。これを参考にしながら、日本版の「通訳人研修教材」とともに、なによりも、「法律家」のための"user's training"を実施したいものだ。

 3日の駆け足調査であったが、充実していた。
 むろん、夕方と夜には、ワイキキの海岸の観光を楽しんだ。
そして、早朝のダイヤモンドヘッドの一周ジョギング。これが一番の楽しみ、かもしれない。
posted by justice_justice at 19:43 | TrackBack(0) | ■裁判員裁判ー一般 | 更新情報をチェックする

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