2012年03月15日

■「起訴強制」−検察審査会のあらたな機能?

■昨日、検察審査会が二度の審査を経て、起訴議決をした事件について、はじめての裁判所の判断がなされた。結論は、無罪であった。毎日新聞配信ニュースによると、概要は、次のようなものだ(毎日新聞/2012年3月14日/13時22分(最終更新3月14日/20時39分))。

「詐欺罪:強制起訴の会社社長に無罪判決 那覇地裁
 上場の見込みが薄い未公開株の購入を持ちかけて現金4800万円をだまし取ったとして、詐欺罪で強制起訴された沖縄県南城市の投資会社社長、(白上しらかみ)敏広被告(60)に対し、那覇地裁(鈴木秀行裁判長)は14日、一部を公訴時効で免訴としたうえで、無罪(求刑・懲役7年)を言い渡した。検察官役の指定弁護士側は控訴する方向で検討している。・・・・指定弁護士側は、白上社長は02年4〜5月、上場する見込みが少ない企業の未公開株の購入を持ちかけ、沖縄県内の男性3人から4800万円をだまし取ったとした。白上社長側は「上場を果たす可能性があった」などとして無罪を訴えた。・・・・
 判決は「当時の投資家の間では注目企業と評価されており、知識経験を有する投資家でも上場に相当な期待を寄せる状況にあった」ことなどから、白上社長にだます故意はなかったなどとして、詐欺罪の成立を認めなかった。3人のうち男性1人との1200万円の取引については、公訴時効が完成しているとして免訴とした」。

■検察庁は、被告人を当初不起訴にした。しかし、検審が投資詐欺を疑い、二度目の審査でも起訴相当とした。その結果、通常の審理が行われて、無罪判決に至った。こんなふうに考えている。

 今回の裁判は、市民で構成する検察審査会が二度目の審査で起訴議決をしてはじまったが、ベンチャー企業が株式を上場するタイミングの判断を巡る投資家間の争いが争点となっている。
 事前調査を怠った被害者にも落ち度があり、商売の駆け引きの範囲なのか悪質な詐欺か「合理的疑い」が残る以上、市民が始めた裁判であって「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則に従い、プロの裁判官が無罪としたのは妥当だ。
 検察審査会は、政治家を起訴して民主主義を守り、交通事故など検察庁が見逃しがちな小さな被害に光をあてて市民生活を守るなど検察庁の補完機能を果たしてきたが、今後も市民目線で正義を実現する多様な役割が期待される。
 それだけに、審査員になる市民は、起訴強制の強い権限を持つ以上、証拠を社会良識に沿って点検し「犯罪の合理的疑い」があると確信する場合に限り、起訴議決をしてほしい。

共同通信にこのコメントを提供し、編集作業の上、シンプルなものに修正して配信していると思う。


posted by justice_justice at 06:27 | TrackBack(0) | ■検察審査会・付審判 | 更新情報をチェックする

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