2012年03月14日

■「告訴能力」−10歳の少女の被害感情

■ネットに次の記事が配信された(2012年3月14日毎日新聞・地方版)。悲惨な事件だが、「被害を社会に訴える力」を考えさせられた。以下、記事を引用し、ブログ編者のコメントも転載する。
■以下、引用。
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’12記者リポート:富山発 わいせつ事件公訴棄却判決 10歳告訴能力どこまで /富山
 ◇「権利回復」の指摘も
 未成年の姉妹に対する準強姦・強制わいせつ等事件で、富山地裁が妹(当時10歳11カ月)が幼く告訴能力がないとして、起訴された強制わいせつ事件2件のうち1件の起訴を無効とする公訴棄却判決を言い渡した。小学5年生は、自らが受けた性犯罪の被害を理解できないほど幼いのか。「悔しい」「許せない」といった訴えは司法に届かないのか。控訴審が始まる前にこの事件について振り返り、問題点がなかったか検証したい。【大森治幸】
 ◆捜査のはじまり
 昨年6月初旬。富山中央署に1本の電話がかかってきた。電話口の向こうにいたのはある学校の教師だった。「生徒が暴行を受け、施設で保護されている」。姉(当時15歳)が通っている学校からの情報提供だった。「当時は地獄だった」。姉妹がそう振り返る悪夢に捜査のメスが向けられた瞬間だった。
 同署は6月30日、住所不定、無職、T被告(42)と、その交際相手の女(39)を児童福祉法違反容疑で逮捕した。女は姉妹の母。逮捕を発表した福田敏彦副署長は顔をしかめた。「この子たちは、長期にわたって被害を受けていたとみている」
 その後の捜査で、T被告は姉に性的暴行を加え、妹にわいせつな行為をした罪に、母親はそのほう助罪に問われた。T被告は09年4月ごろからこの親子の家に住み始め、その年の夏ごろから姉に性的虐待を加えていたという。
 ◆判決、しかし…
 1月19日、富山地裁の田中聖浩裁判長は、T被告に懲役13年、母に同4年の実刑判決を言い渡した。
 判決では妹の強制わいせつ事件2件のうち、1件は祖母の告訴を有効としてT被告らを処罰したが、もう1件は祖母の告訴を否定。妹の告訴は「当時10歳11カ月とまだ幼い年齢であった」などとして2件とも認めなかった。
 地検は「当時は地獄だった。犯人を死刑にしてほしい。でも、法律上それは無理だと聞いた。だったらできるだけ重い罰を与えてほしい。でも母親に対しては反省して戻ってきてほしい」という妹の供述調書を、正式な告訴状の代わりとして起訴していた。
 形式張った「告訴状」よりも被害者の生の声の方が有効と判断し、さらにこうした手法は最高裁判例でも認められ、実務上通例となっていたためだ。
 ある捜査関係者は妹について「実際、この子は非常に賢い」と語り、告訴能力に自信を持っていた。
 ◆専門家は…
 子どもの権利条約に詳しい富山国際大学子ども育成学部の彼谷(かや)環准教授(憲法)も「子どもには虐待や暴力を受けない権利がある。侵害された時は、権利回復の手段が用意されていなければならない」と指摘する。井戸田侃(あきら)・立命館大名誉教授(刑事法)も「性犯罪では自分の体が直接被害を受ける、女性にとって恥ずかしい行為の極み。だから『加害者を許してもらっては困る』という処罰意思はたとえ幼い被害者でも持つ」と妹の告訴能力を認めるべきだという立場だ。


 一方、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「10歳であれば裁判や刑罰の一般的な意味は理解できる」とし、低年齢の告訴能力を認めた。そのうえで、「供述調書にまとめてしまうと、告訴意思、告訴能力が不明瞭になる。告訴意思を調書にするか、自ら告訴状を作成させるべきだった」と地検側の対応にも苦言を呈した。

posted by justice_justice at 20:10 | TrackBack(0) | ■裁判ー起訴された事件 | 更新情報をチェックする

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