2012年02月19日

■「訴因変更」論ー「官僚検察」の落ち度、「自白中心捜査」の危険性

■「起訴状/犯行日誤り無罪/地裁1件認定/窃盗4件で実刑判決=岡山」。
これが、2012年1月28日の読売新聞(朝刊)の記事タイトル。
 「地検が5件の窃盗罪で起訴し、うち1件の犯行日の誤りが判明した男性被
告(38)に対する判決が27日、地裁であった。田尻克已裁判長は「起訴状
の犯行日に犯罪を行ったことは認定できない」として、この1件を無罪とし、
他の4件で懲役2年6月(求刑・懲役3年6月)を言い渡した」。
 何があったのか。
 簡単だ。被害者が届け出た窃盗被害の日時について(被害届と警察官作成供
述調書に記載)、その後、取調官が日付けを取り違えた。そのまま、共犯者等
を取り調べて、間違った日付けで自白をとったようだ。
 本件は、被告人が共犯者2人に指示しては岡山県内の各所でトラックなどか
ら燃料ガソリンを抜き取ったもの。前日に指示して概ね翌日には実行するとい
うパターンがあった。
 取調官が密室で、思い込みのまま、間違った日付けの被害日にも、実行した
と自白させ、その前日には共謀があったと説明させる、、、取調官の思い込み
で、「虚偽自白」をさせるという不始末。
 検察官は、論告、求刑も終えて、判決宣告日前にあわてて「訴因変更」を申
し立てたが、裁判所は許可しなかった。

 「地検は昨年6月に求刑したが、8月の判決前日になって、うち1件の窃盗
罪について犯行日を「2008年8月19日」から「同20日」とするよう地
裁に訴因変更を請求。地裁は判決を延期したが、「直前の変更は被告に著しく
不利益」として認めなかった」(記事引用)

 当たり前だ。
 裁判は、「手続」だ。時の流れの中で、防御の利益が尽きる。一度の手続の
流れでしっかりと「合理的疑いを超える証明」をするのが検察の責務。
 これを見逃して、後から訂正して、処罰を求める、その不利益を、被告側=
市民に負わせるのは「不正義」だ。
 この感覚を、「官僚検察」は持てないようだ。

■<コメント>
 (1)読売新聞(朝刊)では、渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟
法)は「検察官は自白が取れたことで安心し、客観的証拠に基づいた裏付けを
怠ったのではないか」と指摘した。
 (2)山陽新聞2012年1月28日(朝刊)は、「犯行日訂正1件無罪/免れぬ批判/地検は検証を」として、「解説」記事を載せるが、その中では、次のようなコメントをだした。
 ○まず、突然の訴因変更申立について
 甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「被告の防御の利益を無視
し、職権乱用だ」と批判する。
 ○検察の捜査の在り方について
 検察の捜査の在り方が問われる中、渡辺教授は「自白を客観証拠で裏付け、
証拠を示して弁解を問う技法を身に付けなければ、同じ事態が繰り返される」
と指摘。

posted by justice_justice at 10:04 | TrackBack(0) | ■裁判ー起訴された事件 | 更新情報をチェックする

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