2011年10月20日

■「可視化」原理と身体拘束手続ー勾留手続の適正化

■「大阪地検が2容疑者を不当勾留/書面誤記や押印漏れ【大阪】」。
 2011年10月5日朝日新聞(朝刊)は、こんな記事を掲載している。担当記者の独自取材に基づく分析記事だ。
 概要は次のようなものだ。以下、引用。

*************
 大阪地検が2008年と09年、手続きのミスで容疑者2人を不当に勾留していたことがわかった。朝日新聞の情報公開請求に対し、地検が明らかにした。手続きに関わった職員計5人を注意処分にしたという。
 公開された資料などによると、地検は08年10月、覚醒剤取締法違反(使用)の疑いで大阪府警に逮捕された容疑者の勾留を大阪地裁に請求した。その際、担当職員は刑事訴訟法に基づく手続きに沿わず、逮捕状に記載された覚醒剤を使った日付とは異なる日付を誤って勾留請求書面に書いたという。この結果、容疑者は9日間勾留され、ミスに気づいた地検が釈放した。
 09年6月には強盗未遂の疑いで府警に逮捕された容疑者の勾留延長を請求した際、堺簡裁による勾留状に裁判官の押印漏れがあったのに、担当職員は気づかずに10日間勾留したという。
 公開された資料の多くは黒く塗りつぶされ、処分を受けた職員が検事なのか検察事務官なのかは不明。地検は朝日新聞の取材に「確認や点検が不十分だった。指導を徹底し、適正な職務遂行に努める」としている。
*******************

■むろん、いずれも事務的なミスとみたほうがいいのかもしれない。ただ、逮捕とこれに続く勾留は、市民生活にとって大きな負担となる身体拘束だ。令状審査が行き届いていて当然の手続であるべきだが、日本の手続は「ガラパゴス」現象の一つ。独自の進化を遂げており、妥当性には疑問がある。
 勾留審査手続が、基本的に書類審査であり、弁護人依頼権が保証されていない。勾留質問手続はあるが、正式の裁判のための手続とは考えられていないから、弁護人の立会がない。勾留審査に使われた資料は当然のことながら、勾留状もふくめて審査に要した資料は一切を検察官にもどす扱いだ。このため裁判所独自に記録が残らない。
 勾留質問手続を「可視化」すること。これが、今後の立法課題であり、刑事弁護の運用上の課題でもある。 
 そんな見方の一端のみ、次のようなコメントでまとめてみた。

******** 
 刑事訴訟法に詳しい甲南大学法科大学院の渡辺修教授は「勾留は憲法が保障する自由を制限するものであり、単なるミスで済まされない。こうしたミスが相次げば、勾留手続きが厳格に進められているのかという疑問も生じる。裁判官による勾留質問などに弁護人の立ち会いを認める『勾留手続きの可視化』を検討すべき時期にきている」と話している。
posted by justice_justice at 06:20 | TrackBack(0) | ■裁判ー起訴された事件 | 更新情報をチェックする

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。