2011年09月01日

■『無縁社会』ー日本社会の崩落現象

『無縁社会』。NHK「無縁社会プロジェクト」取材班著。文藝春秋社。

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 21世紀の日本が底辺から崩壊していく社会の姿を示す言葉。NHKの取材チームが執筆。無縁死、行旅死亡人、「単身化の時代」、「おひとりさま」の女性、直葬、生涯未婚、、、いろいろなキーワードで「孤立化した個人」とその無縁死という孤死の実情を描き出す。
 230〜231頁の次の言葉が重い。
 ある孤独な生活を送る35歳の男性の語り。「、、、ただあまり人に会わない生活っていうのも、正直言って、居心地のよさっていうのもあって、なかなか動けないという状態ですよね」。
 つまり、「誰とも交わらず、誰でもひとりで生きていくことが簡単にできる時代。もちろん、ひとりで生きていくことは無縁死の危険性をはらんでいることは「無縁社会の」の取材を通じて分かってはいるが、こうした暮らし方が心地いいと感じていることも、また事実なのだと思う。・・・」 
 資本の論理が、会社の利益追求に役立つ個人のありかたを作り出す、その結末としての「孤独」至上の「感情」。
 居心地観で、生活のあり方、人との関わり方を極めてしまう感性が普通になる文化を創り上げるまでに、個人を浸蝕したもの、、、、このブログでは「巨神兵」と名付けている「企業=組織」。
 それが、大量の「一人」を生んでしまい、人の再生産ができない状態を生み、自らの首を絞めるようになっているのに、なお個人を食い尽くすまでその活動をやめない魔物。
 血縁、地縁、学校縁、内回りの社縁(職場内の人間関係)、外回りの社縁(会社取引先との人間関係)、、、、本来は、重層的階層的に個人を守り育てる人間関係であるはずのものが、会社=企業=組織の利益追求の前に、個人を完全に分断し、その労働力を搾取する構造がしみ通った社会。
 自滅への道を確実に歩み始めている21世紀日本に、どう歯止めをかけ、さらに発展・前進・希望・建設、、、「展望」を語る社会に代えることができるのか。これが課題になる。
posted by justice_justice at 06:38 | TrackBack(0) | ●教養ー読書 | 更新情報をチェックする

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