2010年12月29日

■日経「歪んだ正義」−検察のあり方

*本日のブログ関連写真ー日経の記事
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■日本経済新聞2010年12月28日(朝刊)、「検証報告を読む(中)甲南大法科大学院教授渡辺修氏(歪んだ正義)」

特捜部の廃止は不可避

 郵便料金不正事件や捜査資料改ざん・隠蔽事件は「検察の本分」を忘れた組織全体の深刻なモラル低下が原因だ。だが最高検の検証は大阪地検特捜部の特異な体質がもたらしたと強調し、検察組織全体の問題との捉え方が弱く、真の原因解明といえない。取り調べの一部可視化など再発防止策も小手先の微調整にすぎず、全く評価できない。

 郵便料金不正事件の検証で、関係者を誘導して供述調書を作成した疑いがあると指摘しながら、公判で誘導はなかったと証言した検事らを問題視せず、不当な取り調べが行われた背景を深く反省する姿勢が見られない。

 捜査資料改ざん・隠蔽事件の検証では大坪弘道前特捜部長の特異な個人的資質を強調しているが、組織を守るために前部長をスケープゴートにした切り捨ての論理。反省の言葉も「検察の作文」で、組織の構造的問題との意識が見られない。

 事件の背景にあるのは、密室で検事の描く構図に合わせ自白、反省させるという「取り調べ観」で、大阪地検特捜部に限らず検察全体に共通している。むしろ、おとり捜査や通信傍受など新たな捜査手法を導入し、容疑者に証拠を突き付けて矛盾を追及し、その全場面を録音録画する欧米型の「弾劾的な取り調べ観」への転換が必要だ。

 一方、再発防止策で特捜事件の取り調べでの一部可視化や証拠の検討強化などを挙げているが、全面可視化でない以上、自白強要の温床である密室の取り調べはなくならない。高検との証拠の二重チェックも、結局は同じ組織で、これで再発が防げるとは思えない。

 一連の事件を通じて見えたのは、著しく深刻な検察のモラル低下だ。検証では、検事への指導や研修の徹底という項目が再発防止策の後ろの方にあるが、最優先すべき課題だと思う。

 検察は、冤罪(えんざい)を生む構造を深く認識し、「検察は常に正しい」という幻想を捨てるべきだ。容疑者の逮捕と起訴の両方を担う特捜部は、有罪を前提とした事件捜査で成果主義に陥りやすく、廃止は不可避。捜査のあり方を抜本的に改善しない限り、正義を追求すべき「検察の本分」の回復はなく、国民の納得は得られない。
posted by justice_justice at 08:08| ■「特捜崩壊」 | 更新情報をチェックする
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