2010年12月28日

■「見立て」違いー捜査力低下

■1:西日本新聞10年12月14日(朝刊)は、「熊本県/起訴猶予の総務財政課長/「略式への同意迫られた」 氷川町入札妨害/取り調べ状況を証言/「釈放後も幾度も」」と題する記事で、警察・検察のずさん捜査ー見込み捜査のひとこまを紹介している。
 氷川町発注の公共工事をめぐり、競売入札妨害(偽計)容疑で逮捕された町の課長3人他5人。結局、全員が起訴猶予処分となった事件。うち一人の課長が地検の取調べの様子を語る。
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 「西尾氏によると、県警と地検が重視したのは、2月24日の竜北東小体育館耐震補強・改修工事指名競争入札の会場で、木本氏が説明した注意事項の内容だったという。
 木本氏の説明文には「現場工事管理には管理技術者1級の資格を有する常勤の職員か、もしくは現場責任者として複数の主任技術者(注…2級資格者のこと)が必要」と書かれている。この説明文に関して、捜査側は「1級資格者の常勤雇用を条件とする説明はあったが、2級資格者の説明はなかった。虚偽の説明によって、入札に参加した3社のうち、1級資格者を雇用していない1社を辞退させ、入札の公正を害した」として、西尾氏らを追及したという。
 西尾氏は「『もしくは…』以降の説明は絶対に読まれているはずだ」と否定。しかし「誰もが『もしくは…』以降の説明文が読まれていないことを認めたとして追及され、意に反して、認める内容の調書にサインをしてしまった」という。
 関係者によると、10月4日の逮捕後、地検は勾留期限の同25日に木本氏を起訴猶予とし、西尾氏ら他の4人は公開の裁判を開く公判請求をせず、略式起訴とする方針だったという。しかし、西尾氏が「罪を認めることになる」と同意を拒否したため、地検は処分を保留し全員を釈放した。ただ、西尾氏は釈放後も地検から略式起訴に同意するよう何度も求められたという。
 問題となった説明文。一般的に入札参加条件を入札当日に説明することはないという。地検は処分理由の中で「町長の決裁手続きを受けていなかった」とも指摘した。西尾氏は「指名審査など入札前の段階できちんと調べていれば良かったかもしれないが、工事がスムーズに進むように良かれと思って説明文を作った。罪に問われるようなことはしていない」と話した。
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■識者談話として「検察内部の体質に問題」として、次のようなコメントを載せてもらっている。 
 ▼甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)の話 検察が先に事件のストーリーを描き、それに沿う形で関係者に自白を迫っていたようにみえる。これは熊本や氷川町特有の問題ではなく、事件処理を優先する検察内部の体質に問題があるのではないか。起訴猶予という結果は、課長の側からすれば不本意かもしれないが、否認を貫いたことにより、結果的には、もともと無理のある捜査を、最後のところで踏みとどまらせた、ともいえるのではないか。


■2:西日本新聞10年12月19日(朝刊)は「住民、監視の目強化を/競売入札妨害/氷川町課長ら不起訴/行政の透明化も急務/課長3人はあす職場復帰」というタイトルの記事を載せている。
 熊本県氷川町の公共工事をめぐり、町政を担う課長らが、競売入札妨害容疑で逮捕された事件に関するもので、地検は結局逮捕した5人は全員について不起訴(起訴猶予)とした。
 記事は、「見立てが崩れ」と題して、地検捜査のずさんさを指摘する。「競売入札妨害容疑は、さらに罪が重い贈収賄容疑の捜査の入り口になることが多い。不正の動機に金品のやりとりがからむことが多いからだ。しかし今回はその「入り口事件」が崩れた」。
 以下、引用する。「『捜査機関の見立ては、逮捕された町議(辞職)と業者、課長ら計5人が共謀、工事の落札を望む業者の意を酌んで、入札当日、本来必要ない「1級(建築施工管理技士)資格者の常勤が必要』という入札参加条件を示し別の1社を辞退させた、というものだった。
 逮捕時に県警が発表した容疑にも、業者に『落札させることを企て』という一文がある。ところが地検が不起訴を発表した10日の会見では、このくだりは消えうせた。
 ある県警幹部は「特定の業者を勝たせるためにという、当初見込んだ犯罪の意図を立証できなかったのではないか」と分析する。つまりは事件の核心部分を立証する証拠が、公判を維持できるレベルには達しなかったと判断したのだろう」。
 犯罪の裾野の広がりを防ぐのも、21世紀刑事手続の原理「市民主義」によらなければならない。そんな視点から、次のショート・コメントを載せた。
 「捜査の“失敗”を責めることはたやすい。だが今回の事件をその二文字で片付けるべきか。甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「事件を逮捕された5人だけの問題にしていないか」とあえて問題提起する。「嫌疑をかけられるような町議を選び、その町政を正してこなかった町民自身の良識も問われる」と言う。」
posted by justice_justice at 05:34| ■事件ー捜査から起訴まで | 更新情報をチェックする
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