2010年12月25日

■最高検検証ー「検事の本分」、官僚の「作文」

■12月24日、クリスマスイブ。最高検の贈り物は「いわゆる厚労省元局長無罪事件における捜査・公判活動の問題点等について」である。
 手元には、概要しかない。
 しかし、これを読んで、返って「検事の本分」を忘れたモラル低下の深刻さを読み取った。
 改善に向けた提言が、その重みをもたない軽々しいものにしか映らなかったが、何故か。順不同で感想を述べる。

(1)そもそも最高検の今回の村木事件は、検察が密室で犯罪そのものを作り出した『でっち上げ犯罪』であったという深刻な認識がうかがえない。
 上村氏を道具にしたてて、村木氏との共謀を密室取調べでの供述で裏付けようと画策した悪質さ、悪辣さ、、、、

(2)その一端が表れているのが、村木事件で、FD改ざんなどが的確に部内で認識されていれば、公訴取消もありえたという指摘。
 ところが、村木氏を巻き込む道具にしたてた上村氏の裁判では検察はまだ有罪判決獲得にこだわり続けている。でっち上げ犯罪の根源は、上村事件にある。まったく触れていない。反省もない。そのいい加減さ。
 上村氏の事件について、国民と上村氏に対して、
 「今回の事件では、検察庁としては刑罰権を発動できない状態に至った。申し訳ないが、公訴権を行使できない。公訴を取り下げる。単独犯であったことを素直に認めて罪に服そうとした上村氏を恫喝して、村木氏との共謀を自白させたことは許し難い犯罪である。検察自ら犯罪を犯しておきながら、なお上村氏の処罰を求めることはできない」。
 検証結果は、かかる処理をすべきであるという勧告をまったくしていない。

(3)結局、相変わらず、「一介の当事者」の意識が抜けていない。悪いことに、事件を都合よく処理すればよい、としか考えていない検察庁は国家権力=捜査権限を持っている。たちの悪い「事件屋」だ。そう受けとめられている、という深刻さをまったく感じない。

(4)改善策は、特捜の独自捜査と密室取調べを温存することを前提にした手直しでしかない。
 警察も加えず、検察独自で国策捜査を手がけようとすることが成果主義を生む構造を生み、頭書の着手前報告の方針にそった供述押し付けにつながる。
 みずから特捜解体とこれに代わる警察・検察の捜査体制の提案まで踏み込まない限り、国民の理解は得られない。

(5)検察は、不正を働かないという前提に立って検察庁法による組織原理が定められている。そこには、コンプライアンスの発想、危機管理のシステム、自己反省への契機がない。そのこと自体について、反省を踏まえた提言とは思えない。単に、密室取調べを中核とする特捜捜査の効率化のためのチェック機構を設けるのみだ。

(6)「取調べ」観の転換がない。
 お上に対して反省を迫り、真相を語らせる場であるという前提を棄てていない。検事への信頼を強いて、検察の方針にそった供述を述べさせる場という認識を修正していない。密室取調べが違法不当な供述押しつけの場であるという深い反省にたっていない。検事が取調べのありかたについて、裁判所が認定しない説明ー嘘を言った事実を率直に認めようとしていない。要するに、密室取調べ=糾問の場を前提にした可視化でしかない。
 しかも、なお全過程録音録画を提案できていない。

(参考)
■検察庁法 第4条〔検察官の職務〕
 検察官は、刑事について、公訴を行い、裁判所に法の正当な適用を請求し、且つ、裁判の執行を監督し、又、裁判所の権限に属するその他の事項についても職務上必要と認めるときは、裁判所に、通知を求め、又は意見を述べ、又、公益の代表者として他の法令がその権限に属させた事務を行う。
■弁護士法第1条(弁護士の使命)
1 弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。
2 弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。
第2条(弁護士の職責の根本基準)
弁護士は、常に、深い教養の保持と高い品性の陶やに努め、法令及び法律事務に精通しなければならない。



『検事の本分』
 ここに立ち返る姿勢がみえない限り、検察庁と特捜捜査に将来はない。
posted by justice_justice at 05:48| ■「特捜崩壊」 | 更新情報をチェックする
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