2010年11月08日

■「公訴権乱用」、ここにもありー姫路発信

■神戸新聞2010年10月27日(朝刊、姫路版)は、「不起訴の事件、一転起訴」と題して、検察官による興味深い事件処理を紹介している。

 もともと2008年にホテルで知人女性に対する傷害事件で逮捕された被告人について、まず署内で覚せい剤使用の嫌疑が明らかになる。これはおそらく尿の提出を警察が求めて、被告人が任意に応じて鑑定にまわしたものだろう。また、靴の中に覚せい剤0.7グラムを隠匿していたこともこのときに発覚した。

■しかし、検察官は、なぜか覚せい剤自己使用のみ起訴。
 これ自体、通常の運用から見ておかしな処理。
 ところが、裁判所は、他人が飲ませて本人は気付かなかった可能性を認めて無罪とした。検察官は、控訴する一方で、新聞記事によると「新証拠がある」との理由で傷害と覚せい剤所持でも起訴。すでに釈放されていた被告人を、覚せい剤所持で逮捕勾留したようだ。
 地検姫路支部の関係者の話として「新たな証拠がみつかった」、「適正な起訴ということを、公判で立証していく」などと述べているという。

■これに対して、弁護団の見解も紹介されている。
 「無罪判決が出た途端、放置してきた容疑の捜査に乗り出した。一つの裁判で有罪か無罪かが決着するはずだったのに、捜査怠慢の責任を被告に押しつけている。公訴権の乱用だ」。

■同一機会の犯罪で、傷害の背景にも覚せい剤の所持・使用が関わっている可能性がある事件。
 証拠関係は同時に収集できたはず。また、いまさら「新しい有力な、起訴価値を高める証拠がみつかった」などという説明が納得できるわけもない。
 しかも、よし・あしは別として、我が国刑法は、一度に発覚した犯罪は「同時処理」をすることで、犯人に過剰処罰をしない工夫ー「併合罪処理」を刑事政策として採用している。また、同一事件について有罪・無罪を争う裁判は一度しか国家は行ってはならないとも定めて、刑罰権行使の適正を原理としている。
 これを守る責務は検察にある。
 ところが、今や、検察は、「一介の当事者」というよりも、やっかいなことに、権力をもつ「事件屋」に成り下がっている、とさえ言える。
 情けないことだ。
 公正な手続で、厳正に処罰を実現する「公け」を充分に認識してほしい。

■ブログ編者のコメントは次の通り。
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「検察不信増大招く
 無罪判決に対する報復起訴ととられても仕方なく、公訴権の乱用。裁判所は公訴棄却の判決をだすべきだ。被告は検察のメンツの犠牲になり、再び逮捕されて裁判を受け直す羽目になった。公訴権は国民の負託に基づく厳かなもの。こんな不適切な行使を続ければ検察不信を増大させる」。

posted by justice_justice at 17:51| ■裁判ー起訴された事件 | 更新情報をチェックする
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