2010年08月26日

■少年事件と情報公開ー裁判員裁判時代を迎えて

■「長女、謝罪の心刻々/更生の道、真摯に受け止め/宝塚放火の2人、少年院送致」。これが、朝日新聞2010年8月24日の社会面記事トップの見出しだ。
 15歳の少女が14歳の友人と相談して、それぞれの両親などを殺害しようとし、7月のある日、15歳の少女方で火を放った。そして、就寝中の義理の父と実母、妹にやけどを負わせた事件、、、、まだ記憶に鮮明だが、その処分が決まった。神戸家裁は、初等少年院送致としたという。
 母親は死んでおり、罪名としては、現住建造物放火、殺人、殺人未遂など。
 重い。
 罪名も、法定刑も、そして社会に与えた衝撃度も、、、。
■新聞記事では、「決定要旨は「長女の実母の尊い生命が奪われたほか、父及び妹も重傷を負っているのであり、その結果は極めて重大」と指摘。事前に着火剤を用いて燃焼実験をしていたことに触れ、「計画的で態様も悪質」とした。そのうえで、「非行の背景にある問題点、年齢なども考慮すると初等少年院送致が相当」と説明した」と紹介されている。詳細はむろん不明だが、ちょっと気になるのは、逆送決定にいたらなかった理由の示唆がまったくないことだ。
 結論として、こんかいの少女の処遇としては、少年院のほうがよかったのかもしれない。
 ただ、21世紀に入り、「犯罪」を巡る紛争処理には、市民が登場するのが原則である、という原理の転換がもたらされている。
 現住建造物放火事件だけでも、裁判員裁判対象事件だ。殺人も、そうだ。
 しかも、少女が実母らをターゲットにしかも放火を手段として殺害を計画し、実行する、、、その動機、背景、今後の更生などにそれこそ市民良識を活かしたほうが適切な事件だ、とも言える。
■ むろん、刑事裁判ともなれば、プライバシー保護との兼ね合いが問題となる。
 だが、公開裁判であるとは言え、無用なプライバシーの開示まで求められている訳ではない。裁判所の健全な訴訟指揮権の発動と、法曹三者の信頼関係に基づいて、刑事裁判でも、少女のプライバシーを守りつつ、裁判員とともに、事件を検討することは可能ではなかったか。
 もっとも、少年院と少年刑務所、処遇にそんなに違いがあるのかどうかも気になるところだ。さらに言えば、刑事裁判を行って、少年法規定の処遇を選ぶという立法改革もあってよい。
 とすると、今回、家裁が社会にむけて情報発進をすると決めたのであれば、逆送は不相当である理由、今回は、裁判員裁判に委ねないものとした理由について、ふれてもよかったのではないか。
 少年の保護主義に照らしてそのプライバシー尊重はいまも守るべきだ。他方、裁判員裁判の精神に照らして、社会に出すべきメッセージは異なるべきでもある。
 そんなことを考えつつ、次のコメントを掲載してもらっている。

■朝日新聞2010年8月24日(朝刊)
 甲南大学法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「未成年者のプライバシー保護は更生の面から重要」と家裁の判断に一定の理解を示した。ただ、「今回のケースは、仮に起訴されていれば、市民が審理に参加する裁判員裁判対象の重大事件」とも指摘。「刑事責任を問わないのなら、理由をある程度詳しく明かしてもよかったのではないか」と述べた。
posted by justice_justice at 16:07| ■裁判ー起訴された事件 | 更新情報をチェックする
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