2010年07月02日

■低水準の「司法通訳」−起訴状読み忘れ事件

■2010年6月19日読売新聞が15時08分にネット配信した記事のタイトルは、「起訴状一部通訳し忘れ、罪状認否やり直しへ」という衝撃的なものである。
 こんな経過であった。

 「問題の裁判は、11日に行われたフィリピン人ダンサーの男(43)の初公判。被告は、日本に不法に入国したなどとされる入管難民法違反事件と、性別を偽って婚姻届を提出したとされる公正証書原本不実記載・同行使事件で起訴された。
 刑事訴訟法の定めでは、被告に日本語が通じない場合、起訴状の内容などを通訳した上で審理を進めなければならない。地裁によると、地裁が依頼したタガログ語の通訳人が初公判で、2通の起訴状のうち1通の翻訳文を忘れてきた。杉本正則裁判官の指示で、通訳人は日本語の起訴状を見ながら訳したが、公正証書原本不実記載・同行使事件の書面を読み忘れたという。
 杉本裁判官も気付かないまま、被告に「二つとも間違いないか」と質問し、被告は「間違いない」と認めた。裁判は即日結審し、判決期日は25日に決まった。」

■おそるべきことは、通訳欠落が次の経過で明らかになったことだ。「公判後に報道機関からの指摘で発覚。ミスを確認した地裁は弁護人らと協議し、再び罪状認否を行ってから判決を言い渡すことにした。弁護人は「私もタガログ語は分からないので気付かなかった。反省している」と話している」。
 もし、敏感な司法記者がいなかったら、、、そしてこれが有罪無罪に拘わる証拠であったとしたら、、、
 と司法通訳のレベルの低さがおよぼす「不正義」の広がりを思うと背筋が寒くなる。

■ そこで、こんなコメントを掲載した。

◆読売新聞2010年6月19日(西部版、朝刊)
 法廷通訳に詳しい甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「通訳人が2人いれば、その場でミスに気付いたはず。地裁は通訳の重要性を認識し、質の高い通訳人を複数つけるようにすべきだ」と指摘している。

◆西日本新聞2010年6月19日(朝刊)
 ●法廷通訳の不備露呈
 ▼法廷通訳人の問題に詳しい渡辺修・甲南大学法科大学院教授(刑事訴訟法)の話 初歩的なミスで驚いた。口頭でのやりとりをより重視する裁判員裁判の時代だけに看過できない。関係者がなぜ気づけなかったかも不思議だが、今回のようにまとめて通訳する読み上げ通訳は効率的な半面、ミスが起こりやすく、諸外国で一般的な逐語訳か同時通訳ならミスを防げた可能性が高い。日本の法廷通訳人のレベルと、通訳人を使う法律家の訓練が、ともに不十分なことが露呈した。
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