2009年08月07日

●イギリス湖水地方で見た変な日本語 by Makiko

 学会参加のため、数日間イギリスに滞在した。リバプールでの学会発表後、ピーター・ラビットとその生みの親、ベアトリクス・ポター、そして詩人ワーズワースで有名な湖水地方に足を伸ばした。「イギリスは田舎が大変美しい」と、多くの人が絶賛する通り、ロンドンのような大都市からは想像できないような、のどかで美しい光景に心が洗われる思いがした。「ナショナル・トラスト」の活動のおかげでそのような自然保護が可能になっているのだが、その運動におおいに尽力したのが、最近映画にもなったベアトリクス・ポターだ。彼女のピーター・ラビットには、これまで全く関心がなく、かわいいとも何とも思わなかった。ところが、ミュージアム、土産物屋など至るところでその姿を見かけたが、なぜか非常に生き生きとして魅力的なのだ。日本で見るのと、その故郷である湖水地方で見るのとでは全然違うのだ。

 湖水地方は日本人観光客にもとても人気が高く、あちこちで日本人を見かけた。そして、多くの観光スポットで各種の日本語表示を見つけたが、その多さからも、いかに多くの日本人が訪れるのかが想像できた。

 今回、思いがけないところで面白い日本語表記を見つけた。グラスミアにあるワーズワースが暮らしていた家を訪れた時だったが、庭を散策していると、足もとに英語と日本語が左右に書かれたボードが立ててあった。“Please take care”を「気をつけねばならない」と訳している。普通なら「足もとにお気を付けください」となるところだ。どうしてこのような日本語になったのだろう。


イギリス 変な日本語 2 small.JPG












 日本語表記の話ではないが、土産物店で母ウサギと子ウサギの小さな置物を買った時のこと、店員が別の母子の置物を持ってきたので、「それとは違う。」と言うと、もう一人の店員が、突然日本語で「イスと?」と言った。一瞬面食らったが、「イスに座っているほう?」という意味だとわかった。私が買おうと思っていた置物はウサギがイスに座ったものだったからだ。”with a chair”を「イスと」と表現したのであろう。”With”は確かに「・・・と」と訳せるし、そのように習う。だから、文脈にかかわらず、それをそのまま使ったのだろう。ことばを状況に応じてさまざまに使い分ける能力が身につくまでには、相当の努力と時間が必要だということだ。

 イギリスでもう1つ気付いたことは、日本語表記の際に、活字がなくて手書きになっているケースが多いということだ。ヨーロッパはローマ字表記の世界なので、漢字やひらがなの活字がないのもうなずけるが、「シ」と「ツ」、「ン」と「ソ」がごっちゃになっているのや、字の形がおかしいものがある。今回泊まったホテルは山間にあるペンション風のとても素敵な小さなホテルだったが、日本人が多いらしく、階段やホールなど、いたるところに日本語表記があった。そして、そのすべては、ホテルのたたずまいにぴったりの、素朴な味のある書体の手書きだった。


イギリス ワイルド ボア small.JPG














イギリス 変な日本語 small.JPG












 外国に行って日本語を目にすると、懐かしい思いがするどころか、その微妙な不自然さに、より「異国」を感じる。


posted by justice_justice at 00:22| □「ことば」の世界ーまきこ先生が語るー | 更新情報をチェックする
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