2009年05月24日

■裁判員と市民ー検察審査会のこと

■検察審査会と市民ー明石歩道橋事件によせて
 5月21日からもうひとつの司法改革が静かに動き始めた。改正検察審査会法である。長年の市民参加型の手続がさらに進化した、といっていい。

090521_hodokyo.jpg 有権者から選ばれる11名の市民だけで、検察官の処分の当否を決める審査を行なう場。
 今までは、その判断は検察官に送られるだけで、直ちには法的な拘束力、検察官の義務は発生しなかった。
 しかし、検察審査会が起訴相当と判断した事件について、検察官が再度不起訴にしたとき、この判断は必ず検察審査会に再度送り返される。検察審査会も、必ずもう一度審査をしなければならない(但し、もともと申立人がいて、同人が不起訴でいいと判断したときは審査をしなくてもよい)。
 そして、やはり起訴相当の事件と市民が判断したとき、今度は「起訴すべき旨の議決」をする。これが法的拘束力を持つ。
 つまり、この議決は、審査補助員である弁護士の助けを借りて、起訴状類似の議決書にまとめられる。これが裁判所に送付される。裁判所は、指定弁護士を選任する。指定弁護士は、検察官の役割を負う。事件について起訴するのがその任務である。
 この手続の間に、裁量の余地はない。裁判官も、指定弁護士も、議決書に従い、公訴の提起手続をするべき責務を負う。その意味で、起訴議決に法的拘束力が発生する。
 市民が、検察官に代わって公訴の提起を実質的に決める。
 この制度は画期的だ。近代国家日本が登場して以来、検察の責務には市民が介在することはなかった。検察審査会も、検察官を間接的に監視するのに留まる。
 しかし、5月21日以後、検察官は、事件処理にあたり、常に市民の目を意識することとなる。市民良識が起訴相当と判断しないかどうか、、、検察官の独善による処理になっていないか、他の公務員、官僚組織特に警察と政治家に遠慮した判断ではないか、、、といった点をよく吟味して処分を決めねばなるまい。
■明石歩道橋事件
 2001年の夏、ブログ編者の住む近くで起きた悲惨な事件ー市の夏祭り、花火大会の会場に押し寄せる市民が朝霧駅から海岸へ抜けるほぼ唯一のコースである歩道橋(JR線、山陽線をまたがる陸橋)で滞留。往路、帰路、滞留、、、と市民の動きがばらけた上に詰まってしまった。そして転倒事故、、、子供を含む11名が死亡、247名が負傷。
 明石警察署は、100名近い警察官をその歩道橋のすぐ側に配置しておきながら、そして、署長も副署長も、歩道橋の危険な状況を署内のモニターで確認しているのに、なにもしなかった、、、その無策、無責任、市民の安全軽視、、、その姿勢は、業務上過失致死、致傷罪で個人責任としても非難に値する。
 そうした立場にいて責務を負うことの代償に、給与と地位と権限、退職後のことなどもふくめた生活利益を得ているのだから、、、。プロたる責任を放棄した不注意は咎めなければならない。
 なのに、神戸地検は、あろうことか、2度も検察審査会が起訴相当と判断したのに、なお不起訴とした、その間に、元署長は亡くなった。
 5月21日に、遺族等が副署長に対する不起訴処分について、3度めの申立を検察審査会にしたという。
 申立ー受理がなされるかは、法律の規定上やや疑問であるが、検察審査会は職権でも審理を開始してよい。そして、この事件は、まさに検察官がもっとも苦手とする対警察関係の事件であるだけに、2度の起訴相当の判断を考慮した適切な処置が望まれる。
 兵庫県明石市で01年7月、11人が死亡し247人が負傷した花火大会歩道橋事故をめぐり、遺族らでつくる「明石歩道橋犠牲者の会」は10日、改正検察審査会法について考えるシンポジウムを神戸市内で開いた。講演を担当したが、その内容は簡単ながら、新聞記事で次のように紹介されている。
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■「明石歩道橋 事故遺族らが勉強会 検審申し立て3度目控え」09年5月11日神戸新聞(朝刊)24頁。基調講演した渡辺修甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)は「副署長の過失は、事故の危険性の予測や、容易に防止策が取れたことから十分に成立し、二度の『起訴相当』は妥当。三度目の申し立てでも、改正法のもと審査会で取り上げてほしい」と述べた。
■「兵庫・明石歩道橋事故、起訴求めシンポ/改正検審法巡り遺族ら」朝日新聞(朝刊)5月11日(朝刊)22頁
 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)は「法改正で起訴権を市民も持つことになる」と講演・・・・
■「兵庫・明石の歩道橋事故:元副署長起訴求め、3度目申し立てへ 」毎日新聞(朝刊)09年5月11日24頁。甲南大法科大学院の渡辺修教授は「神戸地検の判断は司法制度改革の流れに逆行する」と指摘した・・・

*写真下は、明石歩道橋事件の現場となった、JR朝霧駅から海岸へ抜ける歩道橋の西側隅に置かれている記念碑。


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posted by justice_justice at 07:51| ■(ケース)明石歩道橋事件 | 更新情報をチェックする
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