2009年03月26日

エジプト記(2)ー「こずるさ」と「人のよさ」


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■「山本山」、「みるだけ」
 エジプト観光をした人は、いわゆる観光地の土産物屋などの売り子にこう声をかけられた体験を持つと思う。
 ひと言、日本語を発して気を引いて売り込みにかかる、その粘り強さには一面辟易すると同時に他面で感服する。
 ホテル周辺で外国人観光客を目当てに張り込むタクシー運転手も同じだ。散歩がてら外にでても日本人の感覚では「しつこい」と思う、その倍程度以上にしつこく「タクシーどうだ、1時間で観光できるぞ、ピラミッドどうだ」と声をかけ続けてくる。
 そんな観光地中心の生活で体験したいくつかの「こずるさ」のエピソードを並べてみよう。
○ルクソールでローカルフェリーに乗ってナイル川を東岸から西岸に渡ったときのこと。
 価格交渉は、ガイドがした。地球の歩き方では、片道2ポンドとあるが、3名往復で6ポンド。片道一人1ポンドとなった。念のため。「正しい値段はない」。これがエジプト流。同じフェリーに乗っても、片道2ポンドで交渉成立させた人は、それが正しい値段。おそらく現地の人はもっと安い価格で乗っていると推測している。ここまでは前置き。
 フェリーに乗って運賃を支払うとき。ガイドが往復切符をくれとって6ポンドを出す。往復切符といっても、紙切れに支払済みと書いた紙を暮れるだけのこと。係が、こう言い出した。書くものがないから、ペンを貸してくれ。何気なく手持のボールペンを渡したが、この段階ではすでにエジプト商人のしたたかさについて、少し体験もし、ガイドのレクもあったので、警戒を怠らない。
 案の定、渡したペンをさっと手元に置いてある金庫代わりの木箱に抛り込み、傍らから自分のボールペンを出して紙切れに書き込んで我々に渡して知らん顔を決め込む。むろん、次のように対応した。
 "Hey, You don't cheat me. That's my pen."
 さっさと手を突っ込んでペンを取り返して退去した。ほっておけば、そのまま猫ばばされた。
○オールドカイロからホテルにもどるときのタクシー。
 このときはガイドは同行していない。まず、出口で観光客の帰りを待つ客引きの声にはのらないことにした。オールドカイロの前の道には、流しのタクシーが次々と走っているから、これを拾えばよい。
 それでもアラビア語の話せない外国人観光客であることとは一目瞭然。英語で交渉を開始する。運転手はホテルの名前を聞き、さかんに"No problem, come in, come in"を繰り返す。が、価格を前決めせずに乗り込むつもりはない。こちらは"How much?"を繰り返す。このやりとりが数回。で、こちらから、"How about 10 Pound ?"と持ちかける。すかさず、"No. 20 Pound!"と怒鳴り返してくる。現地の人であれば、5ポンドくらいで行く距離であるとは聴いている。が、そこは観光客の立場。高め設定になることは多少とも覚悟している。それでも、20ポンドも出すつもりはない。"No, 10 is enough""No, 20"のやりとりが数回続く。
 次にやむなく"Then, how about 15 ?"と当初から予定の金額をオファーする。それでも、運転手は、"No, no, 20!"と譲らない。そこで、"OK, then, I will pick up another taxi..Bye!"と交渉を打ち切る「振り」をする。
 この段階で、運転手は、”OK, OK”という。タクシーに乗り込んでからもう一度「15」を確認する。運転手も、ボールペンを持ち出して手に「15」と書いて確認し双方頷く。20分ほどでホテルに着く。
そして、そこで再度価格問題が起きる。運転手は、"Give me 21."と言い出す。むろん、応ずるつもりはない。"No, we said 15."このやりとりを数回。タクシーをさっさと降りて、お釣りが要らないように15ポンドきっかりを渡す。
 そうでないと、釣りをよこせ論争となり、事態はさらに面倒になる。渡してしまって釣りを出させるのは、かなり困難になろう。きっちり15ポンドを渡すと、運転手はあきらめ顔に立ち去った。
○カイロ国際空港から出発するとき。
 フライト便に向かうバス発着所に入る直前の所持品検査のとき、検査員が、手で身体検査をするが、ズボンの右ポケットのふくらみに気づいて、"What's this?" と質問。"They are some cash."と応ずる。"Show them."と指示されるが、この段階で、「もしや」と警戒心が起きている。
 警備員は、こちらが出して示した紙幣数枚の束を上手に手のひらに織り込んで握りしめ、"OK, Go!"と平然として言う。むろん、黙って引き下がるつもりはない。
 "That's mine. Return them all." とここは周囲の他の係員にも聞こえるやや大きめの声ではっきりと釘を刺す。係官は一瞬ばつの悪そうな顔をして紙幣を戻してきた。
■笑顔とひとのよさ
 但し、以上の体験談は、外国人観光客として扱われているときのエピソード。これと異なり、エジプトの人々の笑顔と人のよさにちょっとふれるエピソードもいくつかある。
 例えば、上記したナイル川往復の帰りのフェリーで。少年ふたりを連れた黒のヘジャブですっぽりと顔を隠したお母さん。ガイドといつの間にか話をしている。イタズラさかりの少年をみる「母親のまなざし」。やがて少年のひとりが英語で話しかけてくる。「どこから来たのか」「エジプトで何処にいったのか」「どこで英語を勉強したのか」等など。聴けば、もう一人の少年とその母親を含め3人でこれから東岸にわたりレストランで食事をするのだとか。フェリーを下りる際には少年は「ちょっと家に来い。3分でもいいから寄ってほしい」とせがんでくる。
 ルクソールでも、観光地をわざと離れて、路地裏に入り込むと、そこには小さな子ども達が路上で大騒ぎをして遊んでいるのどかな光景がある。筆者の跡をどこまでも付いてこようとする小さな女の子と、それをしかりつけるおじいちゃんの姿。
 道に迷ったと思っていっしょうけんめいに「バザールは向こうだ」とアラビア語で教えてくれる少年。「そっちの道はいきどまりになる」と教えてくれた少年などなど。

 「したたかさ」と「ひとのよさ」の同居、エジプトの人について、そんな印象を持っている。

*写真は、ギザのピラミッドを見学していたとき、声をかけてきた現地の小学生のグループが一緒に写真を撮ったあと、ふと「これあげる。日本に持って帰って」と言って渡してくれたスフィンクスの粘土細工ものである。柔らかな粘土細工なので、やがて砂漠の砂に戻るのではないかと思っているが、それまで大切にしたい。  
posted by justice_justice at 08:28| ▼世界旅行ーカイロ、ルクソール | 更新情報をチェックする
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