2008年10月24日

上海をたずねて (続編) 「騙す人、騙される人」by Makiko


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[上海のショッピングセンター]






●北京でもどこでも同じだと思うが、上海での買い物にはコツがいる。値切りを徹底してやらなければならない。店員が電卓を客に渡し、いくらなら買うかと尋ねてくる。客は自分が適切だと思う値段よりはるかに低い値段を提示する。そこから交渉が始まる。それも一つの品物だけではなく、何点か一緒にして「全部でいくら」というような提示のしかたをすることが多い。時には高級なものと安いものを一緒くたにするので、値段を決めるのに非常に複雑な計算が必要になる。たいていの場合、ほとんど何も考えず、適当な値段を提示するのだが、それを見た店員が笑顔のままなら、「しまった、まだ高すぎた。」と後悔する。店員がちょっと焦った表情をするくらいがちょうどいい。

●現地の人たちは、店員が怒るくらいの低価格で交渉を始める。そして、まるで喧嘩のような激しいやり取りの末に、客は「じゃあ、もう買わない」と言って店を出る。その時に店員が追いかけてきて「わかった。しかたないからその値段でいいよ。こっちは損したよ。」と言う場合は、その値段は妥当なものだったということだ。本当に店が損をするような値段であれば、店員は追いかけては来ない。交渉決裂である。

●商店街や観光スポットを歩いていると、何人もの中国人が片言の日本語で、「ロレックスの偽物あるよ」とか「偽物のブランド品はいかが」と、堂々と偽物の写真カタログを示してくる。本物でないのが当たりまえ、といった風情だ。たとえそれが犯罪行為でも平気なのだ。

●商店でも、「シルクのブラウス」「シルク100%」などと言いながら、色々と商品を薦めてくる。それを本物のシルクだと信じて値段交渉し、けっこう安く買えたと喜んでホテルに帰ってよく見てみると、「ポリエステル100%」と書いてあったりする。その時はとてもがっくりくる。騙されたと思い、非常に不愉快になる。

●だが、考えてみると、物を売る人間が客に対して正直であるのが当然と思うのは、そういう文化に暮らしている人間だけであり、最初から嘘を言って売りつけてくるのが当たり前の文化があってもおかしくはないのだ。 最初から騙そうとするのが当然なら、それを前提に、騙されないように商品を見極める目と、うまく交渉する術を身につけた上で買い物をするのが消費者としての正しい姿勢なのだ。

●「中国人は平気で他人を騙す」と日本人はよく言うが、騙されると知っている人間を騙すのは、本当の意味で騙していることにならない。日本でも、昨今、産地偽装の問題をはじめ、食品会社による消費者への裏切り行為が多く報道されているが、これは、騙されると思っていない人たちを騙しているのだから、もっと罪が重い。無防備の非戦闘員に対して軍隊が攻撃を仕掛けるようなものだ。

●日本の伝統である「相互信頼」の上に成り立つ社会を守ることはもちろん重要であるが、一歩外に出たら、まず「自己防衛」である。それが根底にあってはじめて、外国文化を楽しむことができる。

●上海では、私もしっかり騙された。「シルク100%」と称するスカーフを、「うまく値切って」1,300円ほどで買った。ホテルでよく見たら、「ポリエステル50%、シルク50%」と書いてあった。だが、意外に腹は立たなかった。シルクは50%入っているのだ。この「50%のまこと」になぜか妙に感動した。

posted by justice_justice at 19:06| □世界ーまきこ先生が観る | 更新情報をチェックする
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