2008年09月27日

■三浦事件続報ー共謀罪逮捕状有効


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■ カリフォルニア州ロサンゼルス群地方裁判所が審理していた三浦和義氏に対する逮捕状の無効確認訴訟について、9月26日、被告側の申し立てを認めない判断が示された。
 被告側は、三浦和義氏による元妻、一美さん殺害について、すでに日本では無罪とされているのだから、事件当時にカリフォルニア州刑法で認められていた外国で実体裁判を受けた事実についても一事不再理効を認める、という規定によって、もはやアメリカで裁判を受けることはないのだから、逮捕状自体も無効であると主張した。
 この限りでは、正しい主張であった。今回の決定も、殺人罪ーmurderの被疑事実については、一事不再理効が発生するから逮捕状は無効であると認めた。
■ しかし、アメリカには、「共謀罪」がある。殺人を犯すことを複数人で相談したことが明白である場合、それ自体を処罰する。これは、その後に、殺人行為が行われるか否かとは別に処罰される別の犯罪なのだ。
 殺人を計画し、相談し、準備し、着手して、殺害を遂げるという一連の犯罪が行われた場合、日本では、「犯人中心」に犯罪の悪さを捉えるから、全体として「ひとつの犯罪」とくくってしまう。
 しかし、アメリカでは、この内、共謀状態といういわば準備段階自体について、現に殺人を犯したこととは別の犯罪性があると判断している。
 「被害、行為、事実」中心の犯罪観といってもいい。別罪なので、別々に処罰する。
 アメリカの法常識ではあたりまえのことだ。
■ 手元の資料をみると、共謀罪の逮捕状の疎明資料をみると、1981年7月14日から1982年7月9日間に、Michiko YAZAWAその他の者、氏名不詳の者と殺人および保険金騙取についてその実行について協議した、というものだ。
 他方、日本では、三浦氏は、次の3件の事件で起訴された。
 (1)1971年8月13日 Y.M.氏と共謀してロサンゼルスで、一美さんを殺害しようとしてY.M.氏がハンマーで一美さんの後頭部を殴打したとされる殺人未遂事件(有罪確定)。
 (2)1971年11月18日、O.Y.氏と共謀の上ロス郊外でライフル銃で一美さんを殺害したとされる事件(無罪となった事件)。
 (3)日本の保険会社から一美さんが重篤な状態に至ったことを理由に保険金を受け取り、アメリカの保険会社から、一美さん殺害事件の際、ダイヤの指輪を盗まれた等として保険金を受け取るなどした一連の保険金騙取事件。
■ とすると、少なくとも、一美さん殺害に関する「共謀罪」に関しては、日本では、そもそもそうした犯罪類型がない上、日本で裁かれた殺人未遂、殺人各事件とは異なる範囲の事実を捉えているものでもある以上、アメリカ法の目からみたら、一事不再理効が及ぶことにはならない。
 今回の裁判所の判断は、アメリカ法の犯罪観・刑罰観を前提にしたとき、ごく自然で当然の結論である。

 今後、三浦氏は、カリフォルニア州に身柄を移されて、裁判を受けることとなろう。
 そして、少なくとも、共謀罪については、本腰を入れて無罪を主張して、検察官立証をくつがえさない限り、有罪になる可能性が高まると推測する。
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