2008年05月11日

■三浦事件ー共謀罪と一事不再理効

■三浦事件。
 おそらくアメリカのマスコミは、この事件について日本のマスコミが大騒ぎをしていることに、驚いていると思う。
 さて。
 すこし問題を整理しておこう。
 カリフォルニア州刑法が、外国で有罪または無罪の判断を受けた同一事件について、州法上一事不再理効を及ぼすことを認める規定を置いていた。今は廃止されている。
 我が国で裁判になった、三浦和義氏の一美さん殺害関連事件は2件ある。
 (1)Y.M(女性)と共謀して、ロサンゼルスのホテルでハンマーで殴って殺そうとした事件。殺人未遂で起訴され、これについては、有罪となった。
 (2)このY.Mを除いた誰か氏名不詳の者と共謀して、一美さんを現に殺害した事件。これについては、無罪となった。
■ そこで、問題がでてくる。
 今、カリフォルニア州当局が、追及しているのは、三浦氏が、一美さんを計画的に殺害した殺人事件(murder)と、一美さん殺害を計画した共謀罪である。
 前者は、日本でも有罪か無罪かを決める裁判が行われた。その裁判が確定したときには、カリフォルニア州法の外国での有罪・無罪の裁判に一事不再理効を及ぼす規定はまだ有効であった。
 したがって、一事不再理効が及ぶことにさほど問題はない。
■ 問題は、共謀罪だ。
 もともと、我が国には、重大な犯罪の実行を相談した状態だけで独立して処罰する規定がない。
 アメリカではごく普通に州法で規定されており、しかも重く処罰される。
 次に、今回の共謀の内容は、ややおおざっぱにまとめてしまうと、「Y.Mさんに一美さん殺害を依頼した事実も含めて、一美殺害を企てた事実」によって構成されている。
 とすると、日本で有罪であれ、無罪であれ、実質上裁かれたのとは、重なる部分もあるが、異なる犯罪の捉え方をしている面もある。
■ 一事不再理効が及ぶのは、すでに裁判を受けている「行為」である。
 カリフォルニア州が逮捕の被疑事実にした共謀罪が、すでに日本で実体裁判を受けている事実の中に完全に含まれている、このようなものとみていいかどうか。
 これは、新たに訴追を受けた裁判所が、判断する。
 過去の裁判で問題とされた事件と、今、目の前にある起訴事件に関する資料を総合的に比較検討して、両者が「同一行為」とい言えるかどうか、その相当性を判断することとなる。
■ この場合、三浦氏の弁護人が、我が国で行われた裁判の資料をどこまでどうやって証拠にしてカリフォルニア州裁判所に提示できるかが鍵になる。起訴状、裁判書の正確な英語訳が必要になるだろう。各事件とも一審から上告審まで、それぞれの裁判書の翻訳をそろえて資料にしなければなるまい。無罪判決確定までに、訴因が変更された経過も詳細に英語で報告した上で、該当訴訟記録の英訳が要る。大変な手間だと思う。
 そして、その結果、我が国の二度の実体裁判で対象となった事実と、今回カリフォルニア州当局が逮捕状の被疑事実としている事実が「同一行為」なのであれば、これ以上強制的に身体拘束を継続してまで裁判を行うべき必要性も正当性もなくなる。
■ 今、ロサンゼルス市で、三浦氏に対して発付された逮捕状の有効性を巡る審理がなされている。
 その決め手になるのは、カリフォルニア州法上の共謀の事実と、我が国における二度の実体裁判が対象とした事実が「同一行為」とみれるかどうかだ。同一性があるのなら、逮捕状は無効と宣言すべきで、三浦氏は直ちに釈放されるべきだ。
 逆に、カリフォルニア州の目でみる共謀罪が、この事件の「悪質さ」を別の側面から捉えるものなのであれば、逮捕状については有効性を認めて、実質審理に入る準備を調えるべきであろう。
 一事不再理効の最終判断は、起訴後に受訴裁判所が判断、決定すべき事となる。

 今後の推移を見守りたい。

miura_080511.jpg
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/388166631
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。