2007年11月18日

■「公け」を敬うー愛知県護国神社とある青年警察官


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■11月のある土曜日、名古屋の護国神社に参拝した。「護國の神霊(愛知県ゆかりの御英霊)」を御祭神とする神社であり、以下の通り、ホームページで縁起が紹介されている。
http://www.aichi-gokoku.or.jp/index.html
「明治2年5月尾張藩主徳川慶勝が、戊辰の役に戦死した藩士等二十五柱の神霊を、現在の名古屋市昭和区川名山にお祀りして「旌忠社」と号したのが始まりで、その後、先の大東亜戦争に至るまでの愛知県ゆかりの御英霊九万三千余柱を、護國の大神としてお祀り申し上げております」。
 神社名は、明治8年「招魂社」と称したという。夏目漱石の「我が輩は猫である」にも東京の招魂社の名がでてくるが、これと同じであろう。
 そして、同34年「官祭招魂社」、昭和14年「愛知縣護國神社」、戦後一時「愛知神社」と称し、同30年「護国神社」へと復称したという。
■ 本殿で「二礼二拍手一礼」の作法に従い、参拝。
 その後、境内を一巡すると、ふたつの石碑が目に止まった。マリワナ戦戦没者5万人の霊を慰める碑がそれだ。

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「渇死」。
 5万人「戦死」ではなく、「渇死」とある。
 その一語に、太平洋戦争の無謀さが尽くされている。
 が、同時に、そうであっても、「国家」のために死に向かわざる得なかった大勢のふつうの市民達の思い、そして残された遺族の気持ちもこもる。
 碑に込められているのは、「公け事」への真剣さがもたらした、無念ではあるが、厳かな死の記念碑である。
■ 拝殿に向かって左手奥に、二基の大きな石碑が建つ。そのひとつに「殉職警察官の碑」と銘が打たれている。内大臣松方正義の揮毫による。
 「殉職」。
 この二語の意味も重い。 
 先日、警視庁の警察官が女性にストーカー行為を繰り返した上、射殺しみずからも自殺した異様な事件があったが、他方、今年5月にはここ愛知県長久手で起きた人質事件では、まさに「殉職」警察官が出た。
 「闇を切り裂く銃声。倒れた同僚を救う際に、新たな凶弾が機動隊員を襲った。愛知県長久手町の民家で17日に起きた立てこもり事件。午後の静かな住宅街で交番の巡査部長ら3人が撃たれて傷つき、夜に入ってさらに1人が撃たれて死亡した」(朝日新聞07年5月18日(朝刊)より)。
■ 実は、この日の午後、神社拝殿で、とある青年警察官の結婚式が挙行された。
 相手の女性も警察官である。しかも、ともに「デカ」。刑事事件の捜査を担当する課にいるらしい。
 護国神社での結婚式を選ぶふたり。
 神社の由来をどこまで意識していたのか確認はしなかったが、自ずから覚悟するところはあったのだろうと思う。
 披露宴での上司の言葉に「まじめに真剣に仕事に取り組み、なんにでもチャレンジする姿勢がある」と紹介されていた。
 これからは、夫婦で「公け」の仕事に取り組むのだろうと思う。

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■そして、と思う。
 このブログのテーマである「刑事裁判を考える」とき、ブログ編集者が担当した前任校のゼミから関西を中心に各地で警察官として活躍している卒業生たちが大勢いることをいつも思い出す。
 この国の刑事裁判の形を日々支えているのは、彼ら第1線にいる警察官であることを忘れることはない。
 まじめで真剣に仕事に取り組む青年警察官群像。
 その元気な姿をおりおりゼミ会でみることができる。
 彼らが誇りをもって仕事ができる刑事裁判の基本を定めるのが法律家の仕事である。
 取調べ「可視化」もそのひとつだ。
 有能な第一線の刑事達は、仮に被疑者取調べが全過程録画されても、粛々と取調べに携わり、整然と必要な供述を確保し、そして多くの事件で、自白に至ると思う。
 取調べの場面を巡り、「言った、言わない」、「殴られた、殴っていない」といった不毛の議論を避け、そのために現場から警察官を法廷に呼び出す無駄を避け、そして、警察官らの取調べに無用な非難と批判が集中せず、半面、密室の場を無理な取調べに利用する気持ちを抑制するためにも、、、取調べ「可視化」は不可欠だと思う。
 守旧派の法律家が自白率の低下や有罪率の低下をおそれるまでもなく、現場の警察官は全取調べ過程の録音録画に迅速に効率的に対応することと思う。「案ずるより産むが易し」。
■ 「最近、現場があれてるね。職質も危険な場面が多くなっているから、充分気をつけて、怪我したりさせたりしないよう、注意して仕事を!」
 そんな言葉を、披露宴の隣の席に座った、これもゼミ出身の先輩警察官に声をかけて名古屋を後にした。

posted by justice_justice at 09:07 | TrackBack(0) | ●観光(世界) | 更新情報をチェックする
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