2007年03月01日

■明石歩道橋事故ー共犯事件と公訴時効

■もう数年前のこととなるが、明石市の夏祭りの会場が、人工海岸のある狭い地域で開かれたとき、会場へ向かう大勢の人が詰めかけた朝霧駅横の海岸へつながる歩道橋で、人が混み合いなだれ現象が起きて、子供達などが死亡する痛ましい事故があった。
 警備の不備は明白であり、市役所の警備担当者、警備を請け負った警備会社とともに、当時明石警察署の地域官で夏祭り会場現場で警備の現地での指揮権限を有していたN元地域官ら5名が起訴された。
■署長は当日署に詰めており、モニターで歩道橋の状況把握をすることはできた。警備に回せる警察官らも付近にいた。歩道橋へ急ぐ市民をいったん迂回させる導線の確保は、しろうとでも思いつくし、警察官を配置すれば容易にできる安全措置であった。ルミナリエの会場でもやっていることだ。
 しかし、暴走族対策重視の警備計画を策定した署長は、事態の正確な把握と機敏な対処を怠った。彼の過失は明白だ。
 神戸地検は、動かなかったー2度も、検察審査会が起訴相当の議決をしたが、過失を構成できないし、公判を維持できないという判断のもと、起訴はしていない。副署長についても立件されていない。
■ところで、事件当時、業務上過失致死傷罪の公訴時効は5年であったためか、06年7月頃、一部の新聞が、この月で公訴時効完成と報道した。 
 すこし不思議であった。というのも、すでにこの時点では起訴された5名に対して、神戸地裁は禁固2年6月の実刑判決を宣告し、控訴審が継続中であった(07年4月6日判決予定)。また、検察庁が公訴時効は完成したとの判断を示したという新聞記事はみつからない。
■警察署長の過失は、地域官らの過失と競合して今回の事故を招いたものであり、いわば警備のチームワーク全体の乱れが人災とみるべきこの事故の原因だ。
 その一部について、すでに検察庁が公訴権を行使して、犯罪が成立するとして起訴した。
 そうであれば、この事故について、刑罰権を発動するという国家の意思表示はなされたことになるから、共犯者として関与している者についても、もはや公訴時効の利益をあたえる必要はなくなる。
 刑訴法254条が共犯者が一人でも起訴されればその事件に関与したであろう共犯者全員の関係で公訴時効を停止させると規定しているのは、当然のことである。
 そこで、今年1月に、明石歩道橋の遺族の方々が主催するシンポジウムが東京で開かれた際に、上記のごくあたりまえの法解釈・法適用について、次のように説明した。
ー産経新聞07年1月15日(大阪、朝刊)ー「甲南大法科大学院の渡辺修教授は『判例によると、明石署元地域官らが起訴された時点で時効は停止している」と指摘」。
 ー朝日新聞07年1月15(朝刊)ー「渡辺教授は、共犯者の公判中は時効が停止するという刑事訴訟法の規定をもとに、大阪高裁で公判中の同署元地域官と元署長らが共犯関係にあるとして『時効は完成していない』と指摘。『検察審査会に3度目の申し立てをし、司法に判断を委ねることは可能だ』との考えを示した」。


posted by justice_justice at 08:04| ■(ケース)明石歩道橋事件 | 更新情報をチェックする
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