2013年12月31日

■<映画>『コロンビアーナ』ーゾーイ・サルダナの魅力

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■映画『コロンビアーナ』ーZoë Saldaña「ゾーイ・サルダナ」の泣き方
 2012年の3月,ハワイの往復路。映画をみる。「コロンビアーナ」。犯罪組織の幹部の娘カタリヤが,両親を殺された復讐を胸に秘めつつ,アメリカに渡る。叔父に暗殺者としてのトレーニングを受けて,組織壊滅をねらいつつプロの暗殺者として活きる。が,やがて組織が復讐を開始。叔父と同居して育ててくれた祖母が殺される。
 駆けつけた主人公が,祖母の死体をみて泣く,,,,その泣き方を飛行機の中で聞いたときに,分かった。彼女は『アバター』のヒロイン・ネイティリだ。父親が地球人の攻撃で殺され死体を抱きかかえるときの泣き方が頭を横切る。そうか!と思った。
 それから1年以上すぎるが,ツタヤでDVDを借りてゆっくり全編を見た。
 その後,CIAにかくまわれていることを知ったカタリヤが,隠れ家に乗り込む。復讐を遂げる。そして,恋人であった売れない画家との別れの刻となる。
 名品だと思う。
 ただし,A級ではない。
 飽きさせないB級だ。見る価値あり
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2013年12月30日

■還暦世代と『孤舟』シンドロームー孤舟から孤死への道を避けるために

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■『孤舟』シンドロームー「孤死」と「孤舟」の時代
渡辺淳一『孤舟』は,著名だ。今の60代のある種の気分をうまく表現している。主人公は,大手広告代理店の上席常務執行役員。名も「大谷」「威一郎」という。社長の派閥と少し距離を置いていたため,定年退職後に提案されたのは,彼のプライドを傷つける大阪の関連会社の社長ポスト。
 「一日考えて,威一郎はきっぱりと大阪行きを断った」。
この一文がなければ,むろん,小説自体が成り立たない。 
 「一日考えて,威一郎はあっさりと大阪行きを受けた」。
のであれば,彼は,大阪の会社社長としてまだまだ活躍できたのに,,,,が,小説にはならない。そこで,彼は定年退職した。それなりに充実した第二の人生を思い描いていたが、待ち受けていたのはなによりも次の一文が物語る生活だ。
 「辞めてみると,現実は想像したのとはまったく違っていた。
  なによりも威一郎が面食らったのは,毎朝起きても,やることがないことである」。
 夫婦関係と親子関係も冷えている。会社生活中心を当然と思っていた彼には,活き活きとした妻や娘,息子の生活は知らない。訳もなく彼らを管理し支配し指示し命令する対象としてみる「家長」の視線しかない。むろん,家事はできない。まず,夫婦の気持ちのすれ違い。娘の独立。妻が追って娘のマンションに移る。完全な孤立。デート嬢と束の間の恋愛ごっこをしてみるが,うまくいかない裡に,彼女は結婚のためリタイア。セックスを求めていたが,果たせず終わる。それに,現役の会社幹部を装ってみたが,彼女には2年前に退職したことをとっくに見抜かれている。家に呼んで家事を頼んだ跡を妻に見つけられて,果たせなかった不倫を疑われる。
「あなた,誰かここに呼んだでしょう」。
 このひと言ですべてが暴かれる。
 が,妻も娘に攻められて結局家に戻ることとなる,その先を残して小説は終わる。
 「よし,今日から新しく生きていこう」
***
 日本の企業社会は,個人の精神生活を貧弱にした。夫婦,家族,子育て,介護,地域,学校,,,,個人がしっかりと落ち着いて活きていくのに必要な土台をすべて破壊し,個人を企業の場で働く歯車に変えた。それが,今破綻しつつある。
 「少子高齢化」。 
 その中で,個人は,「孤舟」観にさいなまれる状態に置かれる。個人を会社に吸収するシステムはあるが,個人が安心感・安定感・連帯感を持てる基盤が失われている。
 それを警告するのが「孤舟」シンドロームだ。
 主人公の年代に近くなった今,つくづくと思うが,企業社会に押し流されないためにも,「個」を尊重する社会システムの再構築を考えるべきだろう。

<追って>
 先日,夫婦で,子ども達の贈ってくれた還暦を祝う旅行券で金刀比羅宮参りに出向く。岡山までの新幹線,岡山から琴平までの特急南風の中で,ひとしきり『孤舟』論議。とりとめもない話をしているうちに,琴平へ。ホテルに荷物を預けて金刀比羅宮詣で。下宮してから参道沿いの店で金毘羅うどんを食べた。うまかった。
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2013年12月29日

■「刑の一部執行猶予」ー柔軟な刑罰のあり方

■「刑の一部執行猶予制度」3年以内に開始/地域の受け皿どう確保/仮出所者支援施設や観察官,慢性的不足続く/岡山」山陽新聞(朝刊)2013/08/04
***引用***
 懲役や禁固刑の一部を執行した後、残りの刑期を猶予する「刑の一部執行猶予制度」を盛り込んだ改正刑法が6月に成立、3年以内にスタートする。猶予期間中、保護観察を付けて社会生活の中で更生を図るとともに、満期出所者にその傾向が強いとされる再犯を防ぐのが狙いだ。ただ、サポートの中核を担う保護観察官が不足、仮出所者らの自立を支える施設も限られ、地域での「受け皿」確保が大きな課題となっている。
・・・・
 新制度は初犯や薬物使用の被告を対象に、3年以下の懲役・禁錮のうち、裁判所の判断で刑の一部の執行を1〜5年の範囲で猶予する。社会での更生重視に加え、刑務所の定員を上回る「過剰収容」の解消が目的だ。
 現行の実刑と執行猶予刑の“中間刑”の位置付け。例えば「懲役3年、うち1年を執行猶予3年」の判決では、刑務所を2年で出所した後、3年間再び罪を犯さなければ服役の必要はない。
・・・・
 ただ、社会の受け入れ態勢は整っていない。法務省の推計では、制度導入で保護観察対象者は現在の約1・7倍の約7千人に膨らむ一方、対象者を指導・監督する保護観察官は千人弱にとどまる。岡山保護観察所では、わずか10人の観察官で約550人を担当しており、「これ以上増えれば、よりきめ細かな支援は難しい」と多田野清統括保護観察官。
***
 意味のある制度だと思う。
 量刑判断,運用など問題もでてくるであろうが,刑務所収容を重視しすぎる今の刑事政策を改善する一歩。
 原理は「市民主義」。社会に早く戻る以上,社会が受け皿を持たなければならない。
 こんな簡単なコメントを付した。

■甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「新制度は出所者の更生を社会全体で考える契機となるだろう。保護観察官の増員など環境整備が急務であり、市民が積極的に関われるような更生プログラムも求められる」と強調する。
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2013年12月28日

司法通訳の質向上のためにー日本『ガラパゴス』現象のひとつ

■「法廷通訳人アンケート/裁判員導入/8割負担増/集中審理/準備に支障」
愛媛新聞2013/08/05から上記記事を引用する。共同通信配信なので,同じ記事が各地方紙に掲載されていると思う。
***引用***
 刑事裁判で外国人被告の通訳を担当する「法廷通訳人」を対象に業務環境についてアンケートを実施したところ、裁判員裁判経験者39人のうち8割以上が「制度導入後に負担が増えた」と答えたことが4日、分かった。
 裁判員裁判で始まった集中審理が通訳人の負担になっている実態が具体的なデータで明らかになるのは初めて。通訳業務の質が下がれば公正な裁判に支障が出る恐れもあり、制度改善を求める声が出そうだ。
 アンケートは、静岡県立大の水野かほる准教授(日本語教育)や名古屋外国語大の津田守教授(司法通訳翻訳論)らの研究グループが昨年12月〜今年1月に行った。
 回答した101人のうち裁判員裁判経験者は39人で、裁判員制度導入後の負担について「とても増えた」「少し増えた」と答えたのはそれぞれ16人だった。「変わらない」は6人で、1人は無回答。
 理由(複数回答)は「連日の開廷で準備時間が足りない」(23人)が最多。次いで「翻訳する書類が増えた」(21人)「拘束時間が延びた」(19人)の順だった。
 最高裁によると、昨年1年間に判決の出た裁判員裁判で、法廷通訳人が付いた外国人被告は145人だった。
 一方、報酬に関する質問では、101人中19人が「少ない」、48人が「どちらかといえば少ない」と回答し、6割以上が不満を持っていた。さらに59人が「通訳料の明細が分からない」、57人が「算定基準が曖昧」と、裁判所の対応に疑問を投げ掛けた。
 自由記述では、裁判所による研修の充実や、資格認定制度の創設を求める意見もあった。法廷通訳人を20年以上務める津田教授は「アンケートを機に通訳人の負担軽減が議論されるようになってほしい」と話している。
***
■こんなコメントを付した。
<質確保する制度を>
 【法廷通訳に詳しい渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話】 集中審理によって法廷通訳人に求められる仕事の質も量も変わるのは当然なので、アンケート結果は想定内。裁判員制度の導入以降に通訳人による誤訳が問題になった事例も報告されており、法曹関係者はこの問題にもっと敏感になるべきだ。継続的な研修を義務づけ、一定期間受講しない場合は裁判所の名簿から外すなど、質を確保するための制度づくりが急務だ

2013年12月27日

■性犯罪の裁判と被害者の氏名の開示ー被害者のプライバシーと被告人の防御

■「被害者匿名の起訴状修正/地裁要請受け母の名追記/東京地検、女児わいせつ事件で」朝日新聞2013/09/12(朝刊)
 今年は,逮捕状,起訴状に被害者の氏名を記載するかどうかがおりおり問題となった。
 表題の記事では,次のように問題を提起している。
***引用***
 強制わいせつ事件の起訴状で、被害者保護の観点から被害児童の氏名を伏せた東京地検に対し、東京地裁(橋本健裁判官)が明記を求めていた問題で、地検は11日、代わりに母親の氏名と続き柄を追記する修正を行った。この日の初公判で地裁も修正を認めた。
****
 性犯罪の起訴状で被害者を明記する必要性はどこまであるのか。
 もっというと,捜査段階で作成される被害者関係の調書などの捜査資料について,どこまで被害者の氏名などの特定事項を記載しておくべきか。
 実際に可能かどうかさておき,ファイルのトップにのみ被害者の特定事項を記載した書面を綴じ込み,後は事件番号で被害者を特定したり,甲乙丙などの記号で記すことも考えられる。
 ただ,被害の実在と被害者の実在,被告人の関与の立証にあたり,被害者の信用性を問題にするべき事件はある。その場合,被告側にとって,被害者の個人情報がないと防御ができにくくなる。少なくとも範囲が限定される。
 そのシンボルが,起訴状に被害者氏名を書くこと。が,防御上も重要か。
 被告側がそれまでの証拠開示で防御に十分な被害者情報があるのならば,敢えて起訴状の記載にこだわる必要はない。しかし,開示証拠でも被害者情報が不足し,防御に支障があるときには,起訴状も含めて被害者の特定を被告側は求めることとなる。これが明らかにならないのであれば,そもそも審判の対象が不明確であり,防御不能として,裁判手続自体の打切り(違法な公訴提起であるとして公訴を棄却すること)を被告側は求めることとなる。
 上記記事は続いて,次のように解説する。
***引用***  
 地検が起訴したのは、女児が公園の公衆トイレに連れ込まれ、わいせつな行為をされたうえ、撮影されたとされる事件。両親の強い要望や、女児が幼く、被告が面識のない男だった点などを考慮し、地検が5月に起訴した際、「被告がトイレに連れ込んだ児童」との表現にとどめていた。
 刑事訴訟法は「日時、場所、方法」によって起訴内容の特定を求めている。被害者名に関する定めはないが、従来は起訴状に盛り込むべき重要な要素とされ、記載するのが通例だった。このため、地裁は氏名の明記を検察側に要請。検察内部では「修正しなければ起訴の手続きが整っていないとして裁判が打ち切られる可能性もある」(幹部)との見方が広がった。
 東京地裁では8月、今回の事件の後に発生した別の性犯罪事件で、被害女児でなく、母親の氏名を記した起訴状で審理を認めたケースがあった。関係者によると、地検は今回も同様の対応をとれば地裁が許容すると判断。両親に理解を求め、追記したとみられる。
*****

■上記記事に次のコメントを掲載した。

<渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)の話> 
 母親の名前があれば被害者の特定は十分で、法律的には問題ない。被害者が完全な匿名を求める気持ちは分かるが、刑事裁判では被害者をきちんと特定することが必要で、被害者に関する一定程度の情報を被告側に示すのはやむをえない。被害者を保護しつつ公正な裁判を行うために、今回のような工夫を重ねることが必要だ。
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2013年12月26日

■「組織犯罪」「組織罰」−JR福知山線事故異聞

■「『組織罰』創設へ署名/JR西元3社長無罪/遺族ら活動へ」
読売新聞(朝刊)2013/09/28
***引用***
 「JR福知山線脱線事故で業務上過失致死傷罪に問われた井手正敬氏(78)らJR西日本の元社長3人に対し、無罪を言い渡した27日の神戸地裁判決は、企業の事故で被害者らが望む刑事責任を問う難しさを浮き彫りにした。遺族からは企業を罰する「組織罰」導入を求め、署名活動を始める意向も示された。(黒川絵理、本文記事1面)
**********
 こんなリードではじまる記事である。福知山線事故で,会社幹部等の刑事責任が問われなかったことに対する遺族等の怒りが,このような方向へ向かっているようだ。
 賛否両論があろう。刑事政策として,独禁法違反のように多額の課徴金を支払わせるのと同様の制裁金や業務停止など企業活動に沿ったある種の刑事罰は考えられる。
 ただ,その前に,「事件」と「事故」の線引き,事故は対策を講ずるべきで,処罰で対処しない冷厳な政策が前提でなければならない。
 ある識者はこのように言う。
***引用****
 ◆導入慎重論も根強く 
 「刑法の処罰は個人が対象だ。同志社大の川崎友巳教授(刑事法)によると、企業活動が活発でない明治時代に制定されたことが根本にあるという。川崎教授は「現代では企業活動中に事故が起これば被害は甚大になるが、会社の罪は問われない。法が時代に合わない」と組織罰導入を主張する」。
*********
 ブログ編者は,慎重論だ。
 「また、甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は『企業に刑事罰を問うのであれば、経営幹部は企業利益を守るため口を閉ざす。真相解明につながらない』と指摘する」。

 但し,今は少し異なる。
 まず,事故と犯罪は異なる。組織ぐるみの犯罪がある。個人で言う「故意犯」さらには「確信犯」だ。
 この場合には,個人責任と同じく,法人責任を問い,法人の役職者についても個人責任としてではなく,役職者責任を問うことは別途検討してよい。住友重機のデータ改ざん,各地のホテルの材料偽装などなどがそれにあたる。企業の過失と故意の線引きは,証拠に基づけばよい。コンプライアンスの守れない企業は存続させるべきではない。その結果,いわば善意の社員が犠牲になろうとも,刑罰としての会社閉鎖も含む「企業社会のための刑法」の策定は考えてよい。

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2013年12月25日

■王将社長殺害事件について−「25口径自動けん銃」

 京都新聞NET配信記事平成25年12月24日23時0分(更新)は,「拳銃は25口径自動式、実行犯1人か」と題する記事を配信。以下,一部を引用する。
 なお,けん銃の写真はサンケイmsnニュース「カギ握る手のひらサイズ25口径/犯人は特性熟知か、捜査本部が製造元を特定へ」2013.12.23 21:20をモニター上に出して,デジカメで撮影したもの。

 
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***引用***
 京都市山科区の王将フードサービス本社前で、同社の大東(おおひがし)隆行前社長(72)が殺害された事件で、犯行に使われた拳銃は25口径の自動式だったことが21日、捜査関係者への取材で分かった。
 捜査関係者によると、25口径の自動式拳銃は小型で、火薬量が少ないため発射時の反動も小さく使いやすい一方、命中率や殺傷能力は比較的低い。自動式は回転式と比べ2発目以降は連射しやすいとされる、という。
 大東前社長の死因は腹部を撃たれたことによる失血死で、胸にも貫通した銃創があった。京都府警捜査本部(山科署)は、強い殺意を持った犯人が確実に命中させるため至近距離から前社長を複数回銃撃したとみている。
 捜査関係者によると、現場に残された4個の薬きょうは1種類だった。犯行の使用拳銃は1丁で、実行犯は1人とみられるが、逃走を助けるなど共犯がいる可能性がある。
*************
 「25口径(25caliber)」。
  銃身の内径が「25/100*inch」となる。「口径」が,概ねけん銃の威力を示す。使える弾丸の種類も重要だ。マグナム弾を使用できるかどうかが鍵。25口径は,弾丸の直径で約6ミリ位か。けん銃の全長も11センチ程度か。弾丸の初速を決める銃身は5センチ程度。実感としては,当たらないように思う。
 もともと,一般的にも,けん銃はなかなかあたらないとよく聞く。それが至近距離とは言え,4発も胸と腹に当てるとは,どんな訓練を積めばこんな残虐でしかも大胆な殺害行為ができるのか,,,,。プロかセミプロの犯行を疑わせる。25口径のオートマチックを手に入れること,射撃訓練をして,現場の下見などもすること,,,,そうしてまで王将の社長を殺害する動機,,,不可解だ。
 被害者の冥福を祈りつつ,犯人の早期発見,身柄確保を期待したい。
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2013年12月24日

■家族の孤立ー21世紀日本社会の実像と変死事件の行方

■「【ニュース・インサイド】見えぬ母娘の実態/熊本少女遺体発見10日/窓目張り 児相知らず/警察と情報共有課題」 *西日本新聞(2013/10/01・朝刊)
 「熊本市東区の民家で、母親(58)と2人で暮らしていた三浦万理華さん=当時(15)=の遺体が見つかり、1日で10日となる。不登校だった万理華さんと母親の生活に何が起きたかを知る手掛かりは少なく捜査は難航。一方で今年1、2月に家の中を確認した警察官の情報が市児童相談所(児相)に伝わらなかったことも判明するなど、関係機関の課題も浮かび上がってきた」。
 上記見出しのもとに,こんな内容の事件が報道されている。
 しかも「死因特定できず」という。「母親は9月21日に福岡空港で保護されて以降、福岡県内の病院に入院しており、会話が成り立たない状態という。万理華さんの死因は、司法解剖でも特定できなかった。捜査関係者は『事件性の有無も判断できる状況ではない』としており、捜査は難航しそうだ」。
 
 記事を読むと,事件に至るまで,この家族には大変な状況があったようだ。
○児相などによると、万理華さんは小学5年から欠席が目立つようになった。
○家庭訪問した担当者が「学校に行きたいか」と問うと、万理華さんは恥ずかしそうにうなずき、母親も「登校させたい」と話した。
○小学校の卒業アルバムに「大学は医学部に入りたいです。しかしピアニストになることも考えています」と将来の夢をつづった。
○中学3年だった昨年6月以降、不登校。
○母親は、学校に万理華さんを欠席させる旨の連絡をし続けていた
○児相は2013年11月以降、学校や警察などと連携して13回の家庭訪問を実施。
○インターホン越しに万理華さんの声を何度か確認した程度だった。
○福岡県内に単身赴任中の父親(54)も帰宅を母親から拒否されていた。
○父親も今年2月を最後に万理華さんの声や姿は確認できなくなった。

 他方,虐待は認められず,母娘関係は良好だったとも判断されていたという。しかし,「今年1月と2月に母親は「泥棒が入った」などと110番。家の中に立ち入った警察官は、万理華さんの姿を見たのと同時に、部屋の窓ガラスに内側から粘着テープなどで目張りがしてあることを確認していた。
 児相によると、これらの情報は県警からもたらされなかったという。捜査関係者は「現場に行ったのは緊急通報を受けた警察官。児相から相談を受けている家庭だと把握しているわけではない」とするが、児相の梶井悟所長は「目張りなどは、異様な状況を知る貴重な情報の一つになったと思う。届かなかったことは残念」と話した」。

 こんな背景の事件捜査は難しい。母親の心の状態への配慮も要る。慎重な捜査がまだ続いていることと思う。
 上記新聞にこんなコメントを掲載した。

●甲南大法科大学院の渡辺修教授(刑事訴訟法)は「死因や遺体放置の詳細な事情が分からなくとも父親や周辺住民への聞き取り、現場や遺体の状況などの客観証拠で捜査を進められる」とした上で、「母親が適切な治療を早期に受けられる方法を優先すべきだ」と話した。
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2013年12月23日

■住友重機の国防を危うくする確信犯ー「日本の国防」を揺るがす「日本の企業」



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■朝日新聞平25年12月19日(朝刊)など,朝日新聞のネット配信ニュースなどでは,「住友重機、機関銃の試験データ改ざん」を報じている。以下引用する。

***(引用)***)
 住友重機械工業(本社・東京都品川区)が機関銃の試験データを改ざんしていた問題で、防衛省は18日、改ざんが1970年代に始まり、データを偽って納入された機関銃は5千丁以上になると発表した。防衛省は同社を指名停止5カ月の処分にし、改ざんを見抜けなかった検査態勢を見直す。
 防衛省によると、改ざんや虚偽記載があったのは3種類の機関銃。74年度から調達契約している7・62ミリ機関銃の約1350丁と、84年度から契約している12・7ミリ重機関銃の約4千丁は、同社が納入当初から要求性能を満たす機関銃を量産できないと認識しながら、試験の書類にうそを書いて合格させていた。
 7・62ミリは1分あたりの発射速度が要求性能を下回っていた。12・7ミリは1万発を撃った時の耐久性試験の結果を偽っていた。実際は5千発以降は発射速度が遅くなっていた。このほか、5・56ミリ機関銃は93年度から約4900丁が納入されているが、合格と不合格の割合は把握できていない。
**********

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あきれ果てている。
 猪瀬元東京都知事が5000万円を受領したことを隠蔽して,都知事を辞めた記事の影に隠れて,この記事は見逃されているのだろうか。
 国家防衛の最前線にたつ自衛官の武器にこんな偽装が施されている。
 自衛官の生命とともに,国防がかかっている。陸上の戦いで火線が崩壊して敵が侵攻する状態。防衛ラインを守るのは兵士の練度と兵器の性能だ。こんなことを大企業が平気で行っているモラルの低下。
 「どうせ自衛隊が参加する戦争なんか起こりっこない。
  兵器なんていい加減にして金だけ稼げ!」
 会社で交わされていたかも知れないセリフ,心の中に浮かんでいたセリフ,,,それが記事を読みながら,浮かんでくる。「住友重機械工業」。我が国の基幹企業のモラルがこの程度かと,情けなくなる。
 尖閣,竹島,北方領土・・・隙あれば国土は容易に浸蝕される。国家と社会のインフラを守る意識なき企業。
 JR西日本の福知山線事故について,4人の社長が起訴されたが,住友重機は,明らかに組織ぐるみの故意犯だ。重い制裁と,次につなげる抜本的機構改革が要る。社会も,もっと強く反応するべきではないかと思う。


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2013年12月22日

■JR福知山線事故ー控訴審について

■「JR尼崎脱線、指定弁護士が控訴、歴代3社長の無罪不服、『注意義務分析全くない』」日経2013/10/08(大阪,朝刊)
 上記表題の記事は,2004年4月に,尼崎市で起きたJR福知山線脱線事故(乗客106人が死亡し562名に及ぶ多数が負傷した事件)について,指定弁護士が,一審の無罪判決を不服として,控訴したことを報ずる。
 この裁判は,検審がJR西日本の井手正敬元相談役(78)ら歴代3社長に対する業務上過失致死傷罪で強制起訴したものだ。神戸地裁の裁判では,3名は無罪を宣告された。これに対して,検察官役の指定弁護士は平成25年10月7日、大阪高裁に控訴した。
 指定弁護士の取材について,こんな記事となっている。

***引用***
 未曽有の事故に対する経営トップの刑事責任の有無が争われた裁判は舞台を高裁に移す。同日に記者会見した指定弁護士の河瀬真弁護士は一審判決を『大規模な鉄道事業者のトップとしてどの程度の注意義務を負っていたのか、という最も根本的な分析が全くなされておらず、私たちが主張してきたことに正面から答えていない』と改めて批判。『到底納得できず、上級審で改めて審理を求めるべきだとの結論に至った』と説明した。
 控訴によって井手元相談役や南谷昌二郎元会長(72)、垣内剛元社長(69)の歴代3社長を引き続き刑事被告人の立場に置くことについては「被告人の負担は重く受けとめなければならない」としつつ、「被害の深刻さや遺族の『真相に近づきたい』という思いなどを踏まえた」と説明した。
 河瀬弁護士は追加立証に向けて補充捜査を検討することも表明。「一審で提出した証拠を改めて評価し直せば別の結論に至る可能性もある」と控訴審での有罪立証に自信をのぞかせた。
********

 この記事に何名かの識者のコメントが掲載されている。
<識者のコメントー引用>
■制度見直し必要
 元東京高検検事・高井康行弁護士の話 刑事訴訟で訴追側の控訴は一審判決を覆す証拠があってなされるべきだ。補充捜査で証拠が得られる見込みがないのに控訴したのであれば不適切と言わざるを得ない。強制起訴制度の仕組みを抜本的に見直し、一審で無罪判決が出れば指定弁護士は控訴できないようにすべきだ。控訴の乱用で冤罪(えんざい)が生まれる可能性もあり、制度への信頼が揺らぎかねない。
■安全意識を醸成
 船山泰範・日本大教授(刑法)の話 指定弁護士の控訴は、企業に安全確保が求められる時代において自然な流れだ。具体的な予見可能性がなかったと判断した一審判決は、JR西日本の歴代3社長の過失責任を狭く捉えており、時代遅れと言える。トップ企業として安全な鉄道を目指すための対策が十分だったのかどうかを控訴審で問い続けることが、他の会社の安全確保意識を醸成することにもなるだろう。

■編者のコメント−「逆転判決厳しく」
 甲南大法科大学院・渡辺修教授(刑事訴訟法)の話 指定弁護士は、鉄道経営者に求められる予見可能性の水準は通常より厳しく捉えるべきだと考え、控訴に踏み切ったのだろう。だが、現行の刑法で業務上過失致死傷罪はあくまで一個人としての刑事責任を問うもの。予見可能性の範囲も常識に照らして判断されるべきで、一審判決の法解釈は妥当だ。控訴審で判決が覆る可能性は極めて低いと考える。

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