2019年04月05日

ゴーン元会長,再逮捕のニュース

■日経ネット配信「逮捕前日『バッドニュースだ』/ゴーン元会長」( 社会2019/4/4 7:13)

 上記によると,次のように報じられている(一部のみ引用)。
「『バッドニュースだ』。4日に会社法違反(特別背任)の疑いで再逮捕された日産自動車元会長、カルロス・ゴーン容疑者(65)の弁護人によると、元会長は3日、東京地検特捜部の立件方針を聞いて不機嫌な様子でそう話したという。保釈から1カ月弱。ゴーン元会長は11日に保釈後初の記者会見を開く意向だったが、4回目の逮捕で再び東京拘置所(東京・葛飾)に戻った。
・・・弁護人の弘中惇一郎弁護士は4日午前、東京都内で報道陣の取材に応じ『身柄を取る理由が分からない。人質司法として、再び元会長を痛めつけること以外に一体どういう意味があるのか。非常に不適当な方法だ』と述べ、異例の保釈後の再逮捕を批判した。」

■逮捕の一報を受けて,すこし過去記事など探った上で,次のような感想を抱いた。
 ひとことで言えば・・・「保釈中の逮捕は疑問。勾留について慎重な司法審査をするべき」

 確かに,重大な事件を重ねている容疑者について,数回の逮捕勾留をしなければならなことがあることは否定できない。そうした事例も過去にはある。
 しかし,すでに一連の事件で起訴後保釈が認められた被告について,再度逮捕することは異例であり,奇異にも思われる。
 今回の事件は一件一回だけの特別背任罪に留まらないことは明白であった。オマーンルートの疑惑も報道されていたものだが,保釈にあたり関連する余罪も考慮に入れて,罪証隠滅や逃亡のおそれがないと裁判所は判断したはずだ。それだけに,この段階での再度の逮捕には疑問も残る。
 重大な事件毎に逮捕勾留を繰り返して,密室での容疑者取り調べの時間稼ぎをする伝統的な特捜捜査を踏襲しているおそれが強い。

 他方,別な考慮も必要だ。
 外国が主な舞台で起きた事件であれば,捜査共助など国外犯捜査の難しさと証拠収集に時間がかかる事情はある。国外で入手できた証拠書類や関係者の供述については国内での捜査とは異なる配慮も必要だ。
 公判では,検察側の書証はほぼ不同意になるとみるべきで,そうなると,伝聞例外を巡る争い,証人尋問でのかけひき・・・等など有罪立証の困難さも予想される。
 家族も絡む金銭の流れが問題となれば,家族と過ごす保釈を継続させる訳にもいかない。
 それに,あらたな事件の捜査の進展でゴーン元会長の海外逃亡,国内にある外国の諸施設への駆け込みのおそれが高まる事情もないとはいえない。その辺りは,勾留段階で慎重な審査をするべきだ。

 特捜事件である以上,容疑者取り調べの録音録画は当然であるが,今回の事件では司法取引を捜査の端緒としているだけに,関係者の取り調べについても録音録画を実施し,適正な取り調べに基づくことを後に,公判廷で確認できる準備をするべきだ。
posted by justice_justice at 15:23| ■刑事訴訟法一般 | 更新情報をチェックする

2019年03月31日

呉,広島〜「海自カレー」とお好み焼き





 3月30日に,呉に出かけた。大和ミュージアム訪問が目的。
「男たちの大和」(映画)のときのセットが飾られている。
 大和・・・反戦・好戦はさておき,この国を守るために命を犠牲にした若者達がいた事実。
そこに,重いものを率直に感じる世代。それは,必ずしも,戦争経験世代に限らない。
戦後のある時期まで,戦争体験が濃厚に引き継がれた一定の世代がいる。
そこも含めて,「大和」への思いをもつ世代が段々残り少なくなりつつある。





 「大和」。大艦巨砲で戦艦同士の会戦を戦略思想とする軍艦。
時代が,「空母」中心,航空兵器が主導する戦争となることを,日本海軍自身が
真珠湾攻撃で示していたのに,自ら開拓した戦略思想を自らは体現できなかった。
 沖縄特攻,という無謀な作戦に,大和を投じた大本営の選択・・・
 若者の死で辛うじて残せた日本・・・。
 そんないろいろな思いが,大和の模型を見ていると胸中を走る。




 「62型」零戦・・・・珍しい。と同時に,最初から,特攻機として製作されたモデル,といったことがなんとなく「常識」として分かっている世代も,上記の世代だ。「52型」まではそれでも「戦闘機」として作られた。が,62型の基本設計は,「特攻」にあった。
 戦争自体が非合理の選択であっても,なお合理的な作戦戦術・戦略で運営されるべきなのに,「特攻」は国家が取るべき作戦であってはならない・・・そのための武器を作るという兵器思想自体,国としてはもってはならない。
 ただ,この型の飛行機に乗らざるを得なかった10代,20代の若者の思いを忘れることはできまい。




 偶然だが,空母型といわれている海自の護衛艦「かが」・・・と思われる艦艇が停泊しているのを見た。
 呉から,広島に戻るのに,呉線を使わず,フェリーに乗船。
 実は,大和建造の旧海軍工廠跡地あたりを海上から見たいとおもってのことであったが・・・ラッキー!と心で叫びながら,400mm望遠レンズを駆使して写真を撮った。おかげで,艦尾に「かが」の艦名も見ることができた。
 また,これも偶然か,それとも呉ではよくある光景なのか,潜水艦が浮上,出港(と思う)の途中をみることもできた。







 呉でのランチは,これも30日に出向く前にネットで調べて知ったこと。
 呉市内の食堂などで,海自護衛艦と連携(?)して,各艦のカレーのレシピを提供したり,コック長が教えたりもしているのであろうか,そんな海自カレーを提供する店がいくつもあるという。
 海から比較的近くにあり,昼からカレーの食べられる店,「海軍さんの麦酒」店を訪問。
 ホームページは下記。  
 https://www.kaijicurry.com/shop/shop_11.html

 美味しかった。θ(^O^)





 フェリーで45分ほどの瀬戸内海の旅を楽しんで,宇品港へ。
 広島には学生以来,数年に一度はいろいろな仕事で来ているが,実は,宇品ははじめて。むろん,船で広島入りも(宮島観光はさておき)初めてである。
 広島城。
 よく考えてみると,広島に来る度に,裁判所辺りで仕事をするため,遠目には,その度に見ているのに,あらためて訪問,となると,もしかして,京都で学生時代を始めた頃,訪れたとき以来ではないかと思う。
 とまれ,桜のきれいに咲く前庭を経て天守閣へ。
 




 原爆ドーム。この場所は,日本人の心の原点だ,と思う。原爆が落とされた事実。世界史に長く残る事実,世界史を学ぶという知的な作業をする全人類が必ず知る事実。「日本には原爆が投下された。」
 そこからどんな意義を見いだすのか,ずれはあるのかも知れない。しかし,「反戦・平和」を原点とする,という民族としての知恵を忘れてはならないのではないか,、、いつもそんなことを考えながら,この場所に立つこととしている。





 但し,申し訳ないのであるが,ドームにたたずみながら,「今日は,どこのお好み焼きの店に行こうか?」と考えているのも事実である。電車で,立町あたりまで出て,まずまずお好み焼き村を目指して散策する途中辺りの適当な店に入ることとしている。
 地元の人の店自慢,店選びもあるのだろうな,と思いつつ,まずまず観光客はそのあたり,行き当たりばったりで充分と割り切っている。
 今回の店は,「本家・村長の店」である。
 お好み焼きは,ソースで食べる,というのが我が哲学。
 美味しいソースがあることが条件。
 次回は,流川あたりの店にいってみよう。

https://www.hotpepper.jp/strJ000026803/






 そんなこんなで時間を過ごし,例のごとく,常識に従い,もみじまんじゅうをどっさりお土産に買って新幹線に乗った。

posted by justice_justice at 13:13| ●観光(日本) | 更新情報をチェックする

2019年03月29日

■「サイバー・スペース」→「ヴァーチャル・リアリティ」→「現実世界」〜「亜空間・犯罪」

■毎日新聞がこんな記事を紹介している(一部省略)。
 タイトルは以下の通りである。
「名古屋・大学生爆薬製造:『安易に危険を現実化』/19歳に懲役3〜5年/地裁判決」2019/03/26 毎日新聞 中部朝刊

 本文一部を引用すると・・・

「高性能爆薬やプラスチック製拳銃、覚醒剤を製造したとして、爆発物取締罰則違反などの罪に問われた名古屋市緑区の元大学生の少年(19)に対し、名古屋地裁は25日、懲役3年以上5年以下(求刑・懲役3年以上6年以下)の不定期刑の判決を言い渡した。神田大助裁判長はいずれも危険性や違法性を十分認識していたと認定し「反社会的かつ悪質性が高い」と指摘した。」
 (中略)
「弁護側は少年院での治療的な教育が必要として審理を家裁に移送するよう求めていた。判決は、年齢に比べて精神発達に未成熟な面があること、内省を深めつつあることを考慮しても、保護処分が社会的に許容されるとは言い難いと退けた。マスク姿で出廷した少年は、うつむいて判決を聞いた。神田裁判長から「あなたは恵まれた環境の中で甘えがあった」と諭され、小さく何度もうなずいた。最後に「心の豊かな人になっていつか社会に貢献できる人になってください」と語りかけられると、深く頭を下げた。」

■この記事をみながらまずこんな言葉が浮かんだ。
 「サイバー・スペース」→コンピューターが結ばれて作られている目に見えないが,もはや否定できない「空間」。「データ」が自動制御能力も持ちながら浮遊している・・・
 「ヴァーチャル・リアリティ」→サイバースペースの一部をこの現実世界でも体験できる技法・・・サイバースペースと現実世界を混在させたブリッジの世界・・・
 「現実世界」→生身の人間が物理的な存在とその法則に規定されて活きている「この世」・・・
 そして,今,異次元の空間を結ぶ「亜空間・犯罪」がすこしづつ現実のものとなりつつある。
 今回の事件は,その一端にすぎない。

■もう少しまとめて考えてみた。刑事事件に即して・・・

 19歳の青年がゲーム感覚でサイバースペースから爆発物・けん銃・覚せい剤などを現実世界に持ち込む深刻な事態が起きたもので,なんでもできるサイバースペースがパソコン一台で垣根を越えて現実世界を破壊しかねない恐そるべき時代を迎えていることを示す事件だ。
 善意のドラえもんであれば「4次元ポケット」から取り出すもので人間社会を守るのだが,今回の事件では現実世界では目立たない青年がサイバースペースに入り「闇世界」とつながり,場合によっては魔王の役割を果たしかねないところまで来ていた。
 コンピューターゲームと異なり,現実の市民生活を破壊しかねない寸前であり,社会は事件を重く受け止めるべきで,裁判所が不定期刑とは言え実刑としたことも理解はできる。
 ただ,ITの高度化は進むが,利用者のモラル教育は追いついていない。違法なアクセス,違法な情報を摘発するサイバーポリスは未熟だし,国境の壁に阻まれて共犯を追えない現実もある。同種事件が発生する危険は高く,現実社会がサイバースペースをどうコントロールするのか抜本的な対策が必要だ。
 その意味で,本件の青年が事件の重大さを理解し反省するには刑罰がふさわしいか疑問は残る。刑務所に入れるよりも,家庭裁判所に再送致して裁判官,親,弁護士と本人も交えサイバースペースを利用するモラルを学ぶプログラムを組み込んだ保護観察処分のほうが適切ではなかったか。

■新聞の解説記事から
 「◇サイバー利用、モラル課題」と題する記者名入り解説記事の中で,筆者のコメントが次のように引用されている。

「不定期刑の判決を受けた元大学生の少年(19)は、インターネットを駆使して爆薬や拳銃、覚醒剤を自作していた。少年の更生、そして事件の再発防止には、サイバー空間を利用する際のモラルが欠かせないだろう。
 判決によると、少年は爆発物などの化学反応に興味を抱き、ネットで材料や製造方法を調べた。SNSを通じて拳銃や覚醒剤の製造方法も知った。
 判決が言及したように今回の事件は、ネットを利用すれば格別の知識や設備、技能がなくても危険物を製造できることを実証したと言える。
 少年は公判の被告人質問で「ばれなければ大丈夫と思った」と述べる一方、TATPの爆発やETNについてそれぞれ「想像より大きく怖くなった」「どう捨てたらいいか分からず放置した」と語り、安易さを示した。
 渡辺修・甲南大法科大学院教授(刑事訴訟法)は「サイバー空間の高度化が進む一方で利用者のモラル教育は追いついていない」と指摘する。判決に関して「社会への影響は大きく実刑判決は理解できるが、更生のためには、モラルを学ぶプログラムを組み込んだ保護処分が適切ではなかったか」と話した。
 その上で渡辺教授は再発防止に向けて「不正アクセスや違法な情報をどう規制するのか、社会全体で考える必要がある」と訴えている
。」【I・S記者名】



posted by justice_justice at 11:14| ■刑事訴訟法一般 | 更新情報をチェックする